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死刑執行に断固抗議し、死刑執行を停止するとともに、死刑に関する情報を広く公開し、死刑制度の存廃に関する国民的議論を求める会長声明

2018年07月19日

本年7月6日、東京拘置所において3名、大阪拘置所において2名、広島拘置所において1名及び福岡拘置所において1名の合計7名に対して死刑が執行された。そのうち6名が再審請求中であり、心神喪失の疑いのあるものも含まれている。昨年8月就任以降、上川陽子法務大臣による2回目の執行であり、第2次安倍内閣以降、死刑が執行されたのは、13回目で、合わせて28名になる。

今回死刑を執行された7名は、いずれもオウム真理教による一連の犯罪で死刑判決を受けた者であるところ、これら多数の生命を奪った犯罪は決して許されるものではなく、そのような犯罪によって生命を奪われた遺族が厳罰を求める心情は、察せられて然るべきである。しかしながら、死刑制度は、罪を犯した人の更生と社会復帰の観点から見たとき、その可能性を完全に奪うという問題点を有しており、また、誤判・えん罪による生命侵害という取り返しのつかない危険を有するものであるから、死刑の執行についても、単に、犯罪に対する応報と捉えるのみならず、それ自体、人の生命に関わる極めて重大な人権問題を内包するものと捉える必要がある。事実、免田事件・財田川事件・松山事件・島田事件という4件の死刑判決が再審により無罪となったことからも明らかなとおり、死刑制度は、誤判であった場合に死刑が執行されれば、無辜の生命を奪うという取り返しがつかない重大な問題を抱えている。

当会は、これまで、政府に対し、死刑の執行を停止した上で、死刑制度の存廃について、国民が十分に議論を尽くし意見を形成するのに必要な情報を広く国民に公開し、国民的議論を行うよう繰り返し求めてきた。

それにもかかわらず、政府が、国民的議論のための情報開示を十分に行わないまま、同日に7人もの死刑を執行したことは、死刑制度が基本的人権に関わる極めて重要な問題であることへの配慮を欠いたものであり、死刑の執行を停止した上で、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討と見直しをする必要性を軽視したものと言わざるを得ない。

とりわけ、死刑が執行された者のうち6名は、再審請求中の者であったが、再審請求中に死刑を執行することは、当該再審請求者に対し死刑を適用すべきか否かという点も含め、誤判・えん罪の可能性を審査する再審の機会を奪うことにほかならず、裁判を受ける権利(憲法32条)、適正手続保障(憲法31条)との関係で重大な問題を孕むものである。

また、死刑執行された者の中には、刑事訴訟法479条1項(死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。)にいう心神喪失の状態に該当する疑いのある者も含まれている。死刑確定者について、法務省から独立した機関において同条同項にいう心神喪失の状態に該当するか否かを判断する法制度を整備することなく死刑を執行したことは、適正手続の保障の観点に照らし、重大な問題があると言わねばならない。

さらに、死刑の犯罪抑止効果について議論もなされているところ、今回の死刑執行は、改めて、その問題を考える契機ともなる。

よって、当会は、政府に対し、今回の死刑執行について断固抗議するとともに、死刑制度が最も基本的な人権に関わる重大な問題であることを踏まえ、死刑廃止が国際的潮流となっている事実を真摯に受け止め、死刑の執行を停止した上で、死刑制度の犯罪抑止効果、死刑囚の置かれている状況、死刑執行の選定基準やプロセス、死刑執行の方法、誤判・えん罪と死刑の関係など死刑に関する情報を広く国民に公開し、死刑制度の存廃に関する国民的議論を開始するよう改めて強く求める。

 

2018年(平成30年)7月19日

仙 台 弁 護 士 会

会 長 及 川 雄 介

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