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少年法改正法案に強く反対する会長声明

2014年02月06日

 平成26年1月24日召集された通常国会において,少年法の一部を改正する法案が2月上旬に提出される見込みとなった。

この法案は,国選付添人制度の対象事件の範囲を拡大することを内容に含むものではあるが,他方,検察官関与対象事件の範囲も拡大し,かつ,有期刑の上限引き上げをも含んでいる点において,少年法の改悪以外の何ものでもない。

 少年法は「少年の健全な育成」を目的に掲げ(法1条),保護主義を基本理念とする。すなわち,非行を少年の成育環境や少年期の不安定さ等に起因する成長過程に生じる「歪み」と捉え,少年が自らの抱える問題を克服し成長し得る力と可塑性に依拠し,教育的な措置によりその問題性の解決を援助し,調和のとれた成長を確保するということである。

そして,少年が自らの抱える問題を克服し成長していくためには,少年が自らの気持ちを率直に語り,少年と裁判官ら大人との対等な対話の中で,内省を深め,自らの真の問題性に気付き,これを克服する覚悟を決め,問題を解決する方法を探る必要がある。そのため,審判は,もともと表現力,理解力の未熟な少年らが心を開き自由に語れる場でなくてはならず,決して糾問的,弾劾的な場であってはならない(法22条1項参照)。

ところが,平成12年の少年法改正により検察官関与制度が創設されたことによって,上記のような少年法の理念は後退を余儀なくされた。

少年は,捜査段階で,長期間自由を拘束され,時には一方的な厳しい追及を受け,場合によっては虚偽自白を迫られることもある。そのような捜査機関の一員である検察官が審判にも関与した場合,少年が検察官の前で萎縮し,取調べ段階での供述に縛られ,あるいは検察官への反発から感情的になり,自由に本心を語り自分自身の問題性を深く掘り下げることができなくなるおそれがある。

このように重大な問題を孕む検察官関与の対象事件が更に拡大されれば,少年法の保護主義の理念はなし崩し的に骨抜きにされ,取り返しのつかない重大な変容が生じかねず,ひいては,検察官が関与しない審判においてすら,保護主義は忘れ去られ,少年審判が,行為責任を追及する刑事裁判と同質のものとなることが懸念される。

そして,このような状況下においては,いくら国選付添人制度が拡大されたとしても、検察官関与拡大による弊害を解消することはできない。

少年が,自らの問題性に気づき克服していこうとする姿は,審判を捜査機関の影響から遮断し,懇切かつ和やかな雰囲気の中で,少年の立ち直りを援助する保護主義のもとでこそ実現するものであり,決して付添人弁護士単独の力によってなしえるものではない。

したがって,上記法案に国選付添人対象事件の拡大が含まれていることは,上記法案に賛成する理由にはなりえない。

 さらに,上記法案には,少年法における有期刑の上限引き上げ規定が含まれているが,この点も決して是認できない。

少年法が不定期刑を導入し,成人に比べて有期刑の期間を大幅に短縮しているのは,少年の可塑性や,未熟ゆえに成人に比べてその責任が減少すること,情操保護の必要性等,少年の特性を踏まえた理由があるのであり,成人の有期刑の上限が引き上げられたことから直ちに少年の有期刑も上限を引き上げるべきということにはならない。

特に少年受刑者は,刑執行開始後3年間は,少年受刑処遇要領の下で処遇するとされているが,その後は成人と同様の処遇になる。このような点からも,長期間の受刑は,少年の社会復帰を著しく困難にする。

少年事件は凶悪犯罪を含め,減少傾向にあることが統計上明らかである。このような中で,重大事件を対象に厳罰化しなければならない立法事実は存在しない。

ゆえに,少年の刑の厳罰化を図るべき根拠はなく,そもそも,厳罰化は非行の問題を解決することにはつながらず,逆に少年の社会復帰を困難にし,少年の更生を阻害するものであるから,このような観点からも,上記法案は決して容認できないものである。

 以上のとおり,当会は,少年の刑を厳罰化し、少年法の理念の崩壊という極めて重大な弊害をもたらす上記法案に,強く反対する。

 

2014年(平成26年)2月6日

仙 台 弁 護 士 会

会長 内 田 正 之

 

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