弁護士会ホーム > 入管法改正法案の再提出に強く反対する会長声明

入管法改正法案の再提出に強く反対する会長声明

2023年02月09日

入管法改正法案の再提出に強く反対する会長声明

報道によると、政府は1月23日召集の通常国会に、2021年に事実上廃案となった入管法の改正法案(以下「旧法案」という)をその骨格を維持したまま再提出する方針であるといわれている。
この旧法案は、外国人の送還停止効(難民申請の手続中は送還しない規定)の例外を認め、退去命令に従わない者に対して刑事罰を科し、全件収容主義を維持する等、入管庁の権限を一方的かつ徹底的に強化し、外国人の人権を侵害するおそれの大きい内容のものであった。当会は、繰り返しその問題点を指摘するとともに、2021年3月6日に名古屋出入国在留管理局の収容施設で発生したスリランカ人女性の死亡事件について、第三者機関によりその真相と原因を究明することを求めるとともに、政府及び国会に対して、外国人の人権を擁護する観点から、速やかな全件収容主義の廃止、収容期間の上限設定、事前・事後の司法審査等による適正な難民認定が行われるべく抜本的な入管法改正を求めてきたところである(2021年6月24日及び2022年4月13日付け会長声明)。
国連自由権規約委員会も、2022年11月3日、日本に対する第7回政府報告書審査の総括所見において、日本の難民認定率の低さについて懸念を示し、国際基準に則った包括的な難民保護法制の導入を勧告した。
しかるに、今回、提出方針と報じられている法案(以下「再提出予定法案」という)では、難民認定申請により送還停止の対象とされるのは原則2回までとし、3回目以降の申請者は送還可能とする、という旧法案の重大な問題点が維持されている。また、再提出予定法案は、収容期間の上限の導入に関する規定や入管収容にあたっての司法審査については、旧法案と同様、含まれていないと報じられている。このことは、政府が長期収容を事実上許容していると受け取らざるを得ない。3か月毎に収容継続の必要性を判断し、「監理措置」に移行できるか検討する仕組みを設けるとも報じられているが、入管庁が自ら収容の必要性を判断するという仕組みでは、公平な判断がなされる保証は認めがたい。
なお、再提出予定法案は、旧法案の「補完的保護対象者」制度が含まれているとも報じられている。しかし、「補完的保護対象者」の要件である「迫害を受けるおそれ」について、政府は、迫害を受ける者が迫害主体から個別的に把握されていることを要するとし、きわめて限定的に解釈している。これでは、難民条約上の難民には該当しないが、国際保護を必要とする者の適正な保護ができるとは到底言えない。
このように、再提出予定法案は、旧法案の重大な問題点を維持したまま、再提出されようとしているものであり、難民保護、入管収容制度のいずれにおいても、国連自由権規約委員会が求める国際基準に則った法制とはいえない。
当会は、旧法案の骨格を維持したままの法案の再提出に強く反対し、改めて、国際基準に則って抜本的に入管法を改正することを求める。

2023年(令和5年)2月9日

仙 台 弁 護 士 会

会 長  伊 東 満 彦

ホームへ

  • 紛争解決支援センター
  • 住宅紛争審査会
  • 出前授業・出張講座
  • 裁判傍聴会のご案内
  • 行政の方はこちら
仙台弁護士会の連絡先
〒980-0811
宮城県仙台市青葉区一番町2-9-18
tel
  • 022-223-2383(法律相談等)
  • 022-223-1001(代表電話)
  • 022-711-8236(謄写関係)
FAX
  • 022-261-5945