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仙台市公文書管理条例の制定を受けて、県内のすべての地方公共団体における公文書管理条例の制定を求める会長声明

2023年04月12日

仙台市公文書管理条例の制定を受けて、県内のすべての地方公共団体における
公文書管理条例の制定を求める会長声明

 仙台市は、本年3月14日、仙台市公文書等の管理に関する条例を制定した。公文書管理条例の制定は宮城県内では初となる。条例制定に向けて尽力された関係者の皆様に敬意を表する。
 2009年(平成21年)6月に制定された公文書等の管理に関する法律第1条では、公文書等が、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であり、「主権者である国民が主体的に利用し得るものであること」とされ、公文書等の適正な管理や保存、利用が民主主義や国民主権を支えるものとの位置付けがなされている。このように、公文書管理は、民主主義の根幹を支える知的資源の共有、すなわち情報公開制度を機能させていくために必要不可欠の制度である。
 そして、このような公文書等の管理の重要性は地方公共団体にも同じくあてはまるものであり、同法第34条は、地方公共団体に対して、同法の趣旨にのっとり、公文書等の適正な管理や保存、利用に関して必要な施策を策定し、これを実施する努力義務を課している。
宮城県内の仙台市以外の地方公共団体では、公文書管理条例ではなく文書管理規程等の内部規範によって公文書管理を行っている。
 しかし、公文書が住民の知的資源であり、公文書管理が住民の知る権利を保障するものであることに鑑みれば、その規律は民主的基盤を有する議会で制定される条例で行うべきである(地方自治法第14条第2項参照)。
 また、宮城県内の多くの地方公共団体の文書管理規程等では作成されるべき公文書の範囲が明確にされておらず、地方公共団体の意思形成過程に関する文書が作成される保証はない。さらに、文書管理規程等において文書の保存期間経過後の措置に関する規定が不十分であったり、保存期間経過後も歴史的公文書として保存された公文書に対する市民の利用請求権が定められていないことが多いため、歴史的公文書への市民のアクセス権が十分に保障されないおそれがある。
 当会は、このような観点から、2017年(平成29年)2月9日に宮城県及び仙台市に対して「公文書管理条例の制定を求める意見書」を発して公文書管理条例の制定を求めていたところであるが、今般の仙台市公文書管理条例の制定を受けて、宮城県内のすべての地方公共団体に対し、上記意見書の趣旨を踏まえた公文書管理条例を制定するよう求める。

2023年(令和5年)4月12日

仙 台 弁 護 士 会

会 長  野 呂  圭

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