「日本学術会議法」の成立に抗議し、同法の廃止等を求めるとともに、改めて、会員候補者6名の任命拒否の撤回及び日本学術会議の独立性・自律性の尊重を求める会長声明
2025年6月11日、国の機関としての日本学術会議を廃止し、新たに特殊法人としての日本学術会議(以下「新学術会議」という。)を設立する「日本学術会議法」(以下「新法」という。)が参議院にて可決成立した。
当会は、「日本学術会議法案に反対する会長声明」(2025年5月22日)において、新法案には新学術会議の会員選任や組織運営に政府を含む外部の者が介入する仕組みが幾重にも盛り込まれており、日本学術会議の独立性・自律性が損なわれるおそれが大きいとの懸念を指摘したが、これらの点が是正されることなく新法が成立したことは誠に遺憾であり、抗議する。
新法に深刻な問題があることは、衆議院内閣委員会で11項目、参議院内閣委員会で14項目もの附帯決議がなされたことからも明らかである。したがって、新法は速やかに廃止又は抜本的な改正がなされるべきである。また、それがなされるまでの間も、政府には附帯決議を遵守し、新学術会議の独立性・自律性を尊重すること、新学術会議の設立に至るまでの過程の透明性を確保することが強く求められる。
また、新法の成立によっても、2020年10月に菅義偉内閣総理大臣が行った会員候補者6名の任命拒否が正当化されるものではない。衆参の内閣委員会が附帯決議において、政府に対して会員任命拒否問題について国民への説明責任を果たすことを求めているように、政府は任命拒否に係る意思決定過程の文書を公開して説明責任を果たすとともに、任命拒否を撤回して正常化を図るべきである。
当会がこれまでの会長声明で述べてきたように、日本学術会議の独立性・自律性は、科学者のコミュニティの自治を保障した学問の自由(憲法23条)に基づくものであり、会員任命拒否や新法の内容は学問の自由に対する重大な脅威である。
よって、当会は、新法の成立に抗議し、新法の廃止又は抜本的な改正を求めるとともに、改めて、会員候補者6名の任命拒否の撤回及び日本学術会議の独立性・自律性の尊重を求める。
2025年(令和7年)7月24日
仙 台 弁 護 士 会
会 長 千 葉 晃 平