国選付添人対象事件の拡大を求める決議
弁護士付添人は,少年審判において非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正に行われるよう,少年の立場から手続に関与し,家庭や学校・職場等少年を取りまく環境の調整を行い,少年の立ち直りを支援する活動を行っている。
かかる付添人活動の重要性にもかかわらず,2007年11月に導入された国選付添人制度は,対象事件を重大事件に限定し,かつ,家庭裁判所が必要と認めた場合に裁量で付添人を付すことができる制度に止まっている。
また,2009年5月21日以降,被疑者国選弁護制度の対象事件がいわゆる必要的弁護事件にまで拡大されたことにより,被疑者段階の少年にも広く国選弁護人が選任されるようになったが,成人被告人とは異なり,家裁送致後の少年の大多数は国選付添人による支援を受けられないため,少年に対する法的援助の不十分さは際立っている。
とりわけ,少年鑑別所で身体を拘束された少年については,事件の軽重を問わず,その生育歴・家庭環境にも大きな問題を抱えたケースが多いこと,また,少年院送致などの重大な処分を受ける可能性が高いことから,国選付添人による法的援助制度を早急に整えなくてはならない。
当会においては,国選付添人が選任されない大多数のケースについて,多くの会員が,全国の弁護士が拠出する特別会費を財源とする日弁連の少年保護事件付添援助制度を利用して私選付添人に就任し,献身的に付添人活動を行っており,仙台家庭裁判所管内における弁護士付添人の選任率(観護措置決定件数比)は全国第1位の高率を維持している。
当会としては,今後も高い選任率を維持して少年の権利保障に寄与したいと考えているが,少年事件において適正手続を保障し,少年の更生を支援することは,その財源の手当ても含めて,本来,国の責務である。その意味で,弁護士の経済的負担によって支えられている付添援助制度は,国選付添人制度が全面的に実現するまでの臨時的・暫定的なものにすぎない。
よって,当会は,国に対して,少なくとも少年鑑別所に収容され身体拘束を受けた少年の事件全件にまで国選付添人制度の対象事件を拡大する少年法改正を速やかに行うよう強く求める。
以上のとおり,決議する。
2011(平成23)年2月26日
仙 台 弁 護 士 会
会 長 新 里 宏 二