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福島第一原発事故について国の責任を認めた司法判断が出されたことを踏まえ,被害者への適切な支援施策を求める会長声明

2017年04月07日


本年3月17日,前橋地方裁判所は,東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「本件事故」という。)による避難者等の被害者を原告とする集団訴訟において,全国初の判決(以下「本判決」という。)を言い渡した。
本判決は,本件事故に至った経過を詳細に判示するとともに,国について,遅くとも平成14年には非常用電源設備等の安全設備を浸水させる規模の津波の到来につき予見可能性があったことを明確に認め,遅くとも平成20年3月頃には,東京電力に対して規制権限を行使すべきであったとした上で,その規制権限不行使は著しく合理性を欠くものとして,国家賠償法1条1項の違法性を認めた。また,東京電力については,経済合理性を安全性に優先させ,容易な津波対策さえ行わなかったこと等から「特に非難に値する事実が存するというべき」であると指摘しつつ,国の責任も「東京電力に対する非難性の強さに匹敵する」ものと判断した。
さらに,本判決は,本件事故が,放射線被ばくへの恐怖不安にさらされない利益,人格発達権,居住移転の自由や職業選択の自由等を包摂する人格権としての平穏生活権を侵害したものであることを示すとともに,本件事故による被害が避難指示区域の内外に関わらず広く及んでいることを認めた。かかる判示は,本件事故による被害者の被害が多様かつ広範にわたるものであることを認め,かつ,被害の程度が憲法上の重要な人権を侵害する程度に至っていることを明確に指摘したものであるといえる。
国の加害責任を認めた司法判断が示されたことを踏まえ,当会は,改めて国に対し,「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(いわゆる,原発事故子ども・被災者支援法)の立法趣旨などに則り,本件事故の被害者の実情に応じた適切な支援施策を講じることを求める。
特に,喫緊の問題として,本年3月に区域外避難者に対する住宅の無償提供が打ち切られたことに関し,かかる住宅の無償提供が,多くの区域外避難者にとって避難先での生活を維持するための「最後の命綱」であるという実態を踏まえ,速やかに適切な支援措置を講じることを強く求める。

2017年(平成29年)4月7日

仙 台 弁 護 士 会

会長  亀 田 紳一郎

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