2017年(平成29年)5月23日,衆議院本会議において,いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下,「本法案」という)が採決され,衆議院を通過した。
本法案の内容は,犯罪の実行に至らない「計画(共謀)」それ自体を処罰の対象とするという点において,過去に3度国会に提出され,いずれも廃案となったいわゆる「共謀罪」法案と,本質は変わらない。
本法案は,犯罪成立のために「組織的犯罪集団」という要件を定めてはいるが,その内容が曖昧で一般市民が対象とされる恐れがあるほか,テロリズムと関係のない犯罪が多数含まれている。「組織的犯罪集団」の概念自体がテロとは無関係に拡大するとすれば,同要件による処罰限定機能は全く期待できない。
また,「準備行為」が行われることを処罰の条件とするとしても,「準備行為」の概念は曖昧かつ広範であり,同要件による処罰限定機能も同じく期待できない。
衆参両院の法務委員会における政府閣僚の答弁は,これらの問題点に対する十分な回答とはなっておらず,本法案が成立し施行された場合に生じるであろう人権侵害の危険性は,全く取り除かれていない。
それにも関わらず,現在, 本法案は,参議院において採決されようとしている。
当会は,2017年(平成29年)2月25日の総会決議において,本法案に反対した。
改めて,本法案への反対を表明するとともに,本法案の廃案を求める。
2017年(平成29年)6月14日
仙 台 弁 護 士 会
会 長 亀 田 紳一郎