9月6日、2022年度司法試験の最終合格者が1403人と発表され(受験者数 3082人)、合格者は3年連続して1500人を下回った。
司法試験の最終合格者数は,2016年度が1583人(受験者数6899人)、2017年度1543人(受験者数5967人)、2018年度が1525人(受験者数5238人)、2019年度が1502人(受験者数4466人)、2020年度が1450人(受験者数3703人)、2021年度が1421人(受験者数3424人)である。
合格率は2016年度が22.95%、2017年度が25.86%、2018年度が29.11%、2019年度が33.63%、2020年度が39.16%、2021年度が41.50%、2022年度は45.52%である。合格率は、2016年度の22.95%から2022年度の45.52%となり、ほぼ倍増している。
昨年度との対比で受験者数が約400人減少しながら、最終合格者数はほとんど変わりない。このような結果は、政府の法曹養成制度改革推進会議が2015年6月30日付け「法曹養成制度改革の更なる推進について」と題する取りまとめにおいて、司法試験合格者数について「当面」「年間1500人程度は輩出される」ことを「目指すべきである」としたことを最優先したものであり、今後は司法試験合格者数が「1500人程度」で固定され、さらなる減員が進められない可能性が大きいといわざるを得ない。受験者数が減少しているにもかかわらず、司法試験合格者数について「1500人程度」を確保することが最優先されるのでは,司法試験が持っている選抜機能が働かなくなってしまうおそれがあり,「輩出される法曹の質の確保」という上記とりまとめの留意事項に反することにもなる。
当会は,2015年2月21日開催の定期総会において、政府に対し、司法試験合格者数を直ちに年間1500人程度まで減員することを強く求めた上で、司法試験合格者数が年間1500人程度で固定されるならば,法的需要に見合わない弁護士人口の増加が続くことになり、司法修習修了者の就職難が一層深刻化し,数多くのOJT(On the Job Training)不足の弁護士が生ずると懸念される状況の改善が期待できないことから、さらなる減員を進め、司法試験合格者数を年間1000人程度とするよう求める「適正な司法試験合格者数への減員を求める決議」を行った。
長年にわたり裁判官及び検察官の採用人数が抑制されている現状では、司法試験合格者の大多数は、弁護士登録を申請することとなる。弁護士数は2010年3月31日時点では28,789人だったが、2021年3月31日時点では43,206人と約10年で約1.5倍に急増しており、依然として弁護士増加のペースが急激であることに変わりはない。日弁連のシミュレーションによれば、年間司法試験合格者1500人を維持した場合、弁護士数は2033年には54,732人、2043年には62,497人と大幅に増加していく。なお、年間司法試験合格者数を1000人とした場合でも、司法試験合格者数は長年500人程度だったので、当面の間、弁護士人口は増加する。
その一方で,民事訴訟事件の新受件数(地方裁判所)は、2010年約222,000件に対し2020年約133,000件となっており、約10年間で約40%減少している。刑事事件の事件総数(地方裁判所)も2010年約62,000件に対し2020年約47,000件と約10年間で約26%減少している。このように法的需要に対する弁護士の供給過多は依然として是正されていない状況にあるといわなければならない。
そこで,当会は引き続き政府に対し、上記2015年度定期総会決議を踏まえ、今後の司法試験合格者数についてさらなる減員を進め、年間1000人程度とするよう強く求める。
2022年(令和4年)9月22日
仙 台 弁 護 士 会
会 長 伊 東 満 彦