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平成23年5月25日「権利保全特別措置法第6条の適用に関する意見書」

2011年05月30日

権利保全特別措置法第6条の適用に関する意見書


 

2011年(平成23年)5月25日

 

仙台弁護士会           

会 長   森  山    博

 
第1 意見の趣旨
宮城県内全地域を,速やかに,特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(以下,「権利保全特別措置法」という。)第6条(民事調停法による調停申立手数料の特例措置)の適用地区と定めることを求める。
 
第2 意見の理由
1 権利保全特別措置法第6条の適用の必要性
⑴ 2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災及び巨大津波,一連の余震は,多数の尊い人命を奪い去っただけでなく,家屋を押し流し,住居・塀等を著しく損傷させ,隣地間の境界を失わしせしめるといった甚大な被害を生じさせた。そして,現在も多数の人々が避難生活を余儀なくされ,生活の基盤を構築できずにいる状態が続いている。
⑵ 当会では,東日本大震災発生後の2011年(平成23年)3月23日から被災電話相談を,同月25日から避難所等での出張相談を実施しているが,これまでに寄せられた相談は,被災電話相談については5500件を超え,出張相談については4100件を超えている(5月23日現在)。なかでも,借地借家問題に関する相談は全体の約3割程度を占めており,今後も,借地借家問題の他,建物や工作物の倒壊等の近隣問題,境界問題等の相談事例は増加していくものと考えられる。
⑶ 一方で,借地借家問題についての相談内容は,従前から関係のあった貸主・借主間のトラブルが圧倒的多数を占めており,また,隣人間でのトラブルについても話し合い等による円満解決が求められる事案が多数となっている。
とりわけ東日本大震災に起因した事案については,互譲による話し合い,第三者の仲介による話し合いによって円満解決が図られると思料される事案も多く,また,話し合いによる解決が望まれるところである。
⑷ 上記のような問題を抱えている当事者は,東日本大震災によって職を失う等の理由により経済的に困窮している被災者であって,かかる紛争における民事調停の申立の際に申立手数料を納めることを要しないとの取扱が必要かつ相当であることは明らかである。したがって,権利保全特別措置法第6条の被災地への適用は早急になされるべきである。
 
2 適用地域について
⑴ 東日本大震災の被災地域は,極めて広範囲に及んでいる。
この点,被災地域が宮城県内全域にわたるものであることは,災害救助法の適用を受けている地域が宮城県内全域にわたっていることからも分かるところである。
権利保全特別措置法第6条は,借地借家関係のみならず隣人間の紛争全体が対象となるものであり,人的被害,住家・非住家,崖崩れ,境界問題等に加えて災害に起因する契約上の諸問題についても調停の対象となり得るものであることからすれば,適用地域の指定にあたっては,被害の現状に鑑みできる限り広げるべきである。
また,適用地域指定の広狭は,それ自体として財政負担に差異をもたらすものではなく,広く適用されることによる財政負担増の問題も存在しないと思われる。
⑵ したがって,適用地域指定にあたっては,宮城県内全域を指定すべきである。
 
3 罹災都市借地借家臨時処理法との関係について
⑴ この点,新潟県中越地震の際は,権利保全特別措置法は罹災都市借地借家臨時処理法(以下,「罹災法」という。)」と一括して適用された経緯があった。
たしかに,両者は,災害による借地借家関係の紛争解決を主たる目的とするという点で共通している。
しかしながら,罹災法については,これまで数々の問題点が指摘され,実務において少なからぬ戸惑いを適用地域にもたらしたため,多方面から改正提言等がなされているところであり,罹災法を東日本大震災による被災地に適用すべきではない。権利保全特別措置法と罹災法とは,一括して適用されなければならない法的根拠はない。
⑵ 以上から,罹災法とは切り離して,宮城県内全地域を,速やかに,権利保全特別措置法第6条の適用地区と定めることを求める。
 

以上

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