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司法修習生に対する修習費用給費制の復活を求める会長声明

2012年12月13日

司法修習生に対する修習費用給費制の復活を求める会長声明

 平成24年11月27日,第66期の司法修習が開始され,2035名の司法修習生が全国各地に配属され,仙台にはそのうち49名が配属された。
司法修習は,実務の現場において実務家の指導の下,事実の聴取,書面作成などに携わることを通して法曹としての素養を身に付けるものであり,法曹の質を維持するために極めて重要な制度である。

 司法修習生に対しては,これまで,生活費等の修習資金が国費から支給されていた(いわゆる「給費制」)。しかし,新第65期司法修習生からは給費制が廃止され,希望者に対し修習資金を貸与する制度に移行した(いわゆる「貸与制」)。

 日本弁護士連合会が,新第65期司法修習生に対し実施したアンケート(2001人中717人が回答,回答率35.8%)によれば,貸与制への移行によって修習に臨む環境が極めて悪化していることが明らかとなった。
回答した司法修習生のうち約3割が,司法修習の辞退を考えたことがあると回答し,その最も多い理由が「貸与制に移行したことによる経済的な不安」の86.1%であった。また,実際に経済的理由から司法修習を断念した者がいたとの回答も複数あった。また,アンケートには,貸与制に移行したことで司法修習生が「無収入」と扱われた結果,「部屋を自分の名義で借りられない」,「就労していないものとして,認可保育所への入所が困難になった」などの声が寄せられる一方,貸与金が「収入」として扱われ「扶養家族と扱われず,親の社会保険から外された」という声もあった。このように,貸与制への移行により司法修習生の身分が不安定・不明確となり,具体的な弊害が発生している。このような弊害は,ますます法曹志願者の激減を招き,法曹の質の確保に深刻な影響を与えかねない。

 そもそも,戦後間もない昭和22年に司法修習生に対する給費制が始まったのは,基本的人権の擁護を使命とする司法の担い手である法曹を,国家の責任で養成するという理念に基づくものである。このような理念の重要性は,60年以上を経た現代においても,広く理解・共感されるものである。

 以上のような司法修習生の置かれた現状や給費制を設けた理念を踏まえ,国会は,本年7月27日に成立した「裁判所法の一部を改正する法律」の附帯決議において,法曹養成制度全体の検討を行うにあたって考慮すべき点として,「・・・法曹の使命の重要性や公共性に鑑み,高度の専門的能力と職業倫理を備えた法曹を養成するために,法曹に多様かつ有為な人材を確保するという観点から,法曹を目指す者の経済的・時間的な負担を十分考慮し,経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにすること」,「司法修習生に対する経済的支援については,司法修習生の修習専念義務の在り方等多様な観点から検討し,必要に応じて適切な措置を講ずること」を挙げていた。

 上記附帯決議に基づいて政府に設置された法曹養成制度検討会議において,現在,法曹養成制度全体の在り方についての検討が行われており,その中で給費制の復活も含め司法修習生に対する経済的支援が議論されている。
法曹養成制度検討会議では,修習専念義務の在り方も議論されようとしている。しかし,司法修習制度が法曹の質を確保する上で極めて重要な制度であり,司法修習生には平日日中以外にも自己研鑽が不可欠であるから,修習専念義務は不可欠な制度である。また修習期間が1年間に短縮され非常に密度の濃いものとなっていることからすれば,仮に修習専念義務を免除しても修習期間中にアルバイトに従事することは事実上困難であり,問題の解決にはならない。司法修習生に対しては,司法修習を課す国が経済的支援をする方向で議論をするべきである。

 当会は,法曹養成制度検討会議に対し,法曹の使命・公共性,多様・有為な人材確保などにも言及した上記附帯決議の趣旨を踏まえた議論を行うよう求め,また国に対し給費制を復活させるとともに,貸与制下で修習した司法修習生に対しても遡及的に適切な措置を取るよう強く求めるものである。

2012(平成24)年12月13日

仙 台 弁 護 士 会     

会 長  髙 橋 春 男

 

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