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消費生活相談員の安定的雇用を求める要請書

2013年06月14日

平成25年6月14日

宮城県知事  殿

宮城県内各市町村長 殿

                                    仙 台 弁 護 士 会

                                            会 長  内 田 正 之

消費生活相談員の安定的雇用を求める要請書

要 請 の 趣 旨

  消費生活センター・消費生活相談窓口に勤務する消費生活相談員の業務の専門性・特殊性に鑑み,消費生活相談員に対する雇い止めを安易に行うことなく,その安定的な雇用確保に努めるために,条例・要綱等の枠組みの変更を含む,抜本的な対処を行うことを要請する。

要 請 の 理 由

1 全国の自治体の消費生活センター・消費生活相談窓口(以下,「消費生活センター」という)においては,消費生活相談員が市民からの相談への対応や紛争のあっせん解決などの業務に従事しているが,多くの相談員はその地位・身分が著しく不安定な状況に置かれている。

2 公益社団法人全国消費生活相談員協会が実施した会員へのアンケート調査(平成23年12月公表・回答率51.2%)によると,回答した会員のうち,非正規雇用者の割合は約95%,雇用期間が1年以内である者の割合が約82%,現在の職場の勤務条件に「雇い止め」(雇用契約期間が終了したら更新しない扱い)がある者の割合が約22%にのぼっている。
宮城県においても,県消費生活センター相談員は非常勤職員であり,雇用期間は1年とされ,更新は最長10年までという運用がなされている。宮城県内の市町村においても,多くの自治体で上記アンケート調査結果と同様に,非正規雇用者の割合が高く,雇用期間も制限される傾向が認められ,勤続期間が一定年数を経過した者については,一律に雇い止めを実施し,或いは実施を検討している自治体も複数存在することが確認されている。
消費生活相談員の雇用期間が1年とされている県内のいくつかの自治体においては,毎年公募が行われ,応募者がない場合には採用継続が決まるという運用がなされているが,その中の一つの自治体では,昨年度相談員に公募における履歴書提出の告知がなされないまま公募が締め切られ,継続採用が打ち切られたという実例も報告されている。

3 以上のように,宮城県及び県内市町村の消費生活センターに勤務する消費生活相談員は,極めて不安定な地位に置かれているが,消費生活センターは,消費者に身近な相談窓口として,迅速な消費者被害の回復や消費者への情報発信,消費者教育の実施等を通じて消費者の権利の実現を図るという極めて重要な役割を担う存在である。また,県の消費生活センターは,いわゆる「センターオブセンターズ」として各市町村の消費生活センターの支援を行う等の重要な役割を担っている。こうした県や市町村における消費生活センターの主要な業務を行っているのは,現場の消費生活相談員である。
消費生活相談員の業務には,関係する法令や制度を含め,複雑化・高度化する消費者問題に関する専門的な知識の習得だけでなく,相談者からの聴き取り,助言,説得や,事業者とのあっせん・交渉など,様々な技能の習得が求められる。特に,相談者からの聴き取りや事業者とのあっせん・交渉の技能は,実務経験を積み重ねることによって初めて習得できるものであり,一般に十分に職務をこなせるようになるには5年以上の期間を要するといわれている。

4 このような消費生活相談員の業務の特殊性,専門性に鑑みれば,長期にわたって同一の者を雇用するのはむしろ当然であり,さまざまな経験を積み,研鑽を重ねてようやく一人前になった消費生活相談員について「一定年数が経過した」という理由だけで一律に再雇用を拒否するのは,貴重な人的資源を無駄にすることに他ならず,消費生活センターの機能低下を引き起こし,結果として地元の消費者が不利益を被ることになりかねない。

5 そもそも非常勤職員の雇い止めについては,平成24年7月に発出された当時の松原内閣府特命担当大臣による文書,「『地方消費者行政の充実・強化のための指針』策定に当たって」において,「非常勤職員の行う業務の中にも恒常的な業務があること」及び「同一者の再度任用は排除されないことについて,総務省と認識を共有してい」ることが明らかにされた上,再度任用の回数についても一律に制限を設けることなく,消費生活相談員の専門性に配慮した任用を行うことが求められている。また,消費者庁長官による昨年8月28日付け及び本年2月27日付の「消費生活相談員に対するいわゆる『雇い止め』の見直しについて(依頼)」と題する文書により,各都道府県と市町村に対し,消費生活相談員を任用する回数に関して一律に制限を設けることなくその専門性に配慮した任用をすることや,その役割に応じた処遇を行うことの依頼がなされている。

6 以上のような消費生活相談員の業務の特性や国からの指導等に鑑みると,県や県内市町村の多くが,消費生活相談員の雇用期間を短期間とし,一定の期間で契約の更新を打ち切るという運用は,早急に見直されるべきである。上記消費生活相談員の業務の特殊性・専門性からすれば,各自治体に求められるのは,むしろ,再任用の回数にこだわらず,消費生活相談員の専門性の維持・蓄積が安定的に行えるような雇用の確保であり,これに対応するために,各自治体は,条例・要綱等の枠組みを変更し,専門性を有する非常勤職員の任用期間制限の適用除外を認めるなどの,積極的な方策を実施すべきある。

7 以上のような理由により,当会は,要請の趣旨記載のとおり,宮城県及び県内市町村に対し,消費生活相談員に対する雇い止めを安易に行うことなく,その安定的な雇用確保に努めるために,条例・要綱等の枠組みの変更を含む,抜本的な対処を行うことを要請する。

以 上

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