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平成19年2月24日総会決議

2007年02月24日

多重債務問題解決に向けての決議

1 我が国における多重債務者はおよそ230万人に及ぶと言われており,経済・生活苦を理由とする自殺者が,年間およそ7800人,1日平均21人にも達している。このように,多重債務問題は,日本の深刻な格差社会の象徴的事象となっている。

  そのため,多重債務問題に対しては,国を挙げての対策が急務であることが広く認識されるようになり,国会は,貸金業制度及び出資法の上限金利の見直しを検討し,昨年12月13日「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という)を可決・成立させた。これにより,概ね3年後に出資法の上限金利を利息制限法の年20%へ引き下げること,みなし弁済規定(貸金業規制法43条)を廃止すること等を含む,貸金業制度の抜本的な改正が行われた。

  この法改正は,当会が長年にわたり求めてきた提案が実現したものと評価することができる。

2 上記の改正法は,貸金業制度の改革に止まらず,政府に総合的な多重債務対策を求めており,それを受けて,首相官邸に多重債務者対策本部が設置された。そこで,この流れをさらに推進し,多重債務問題の抜本的な解決を図るべく,当会は,各関係機関に対して,以下のような取り組みの実施を求める。

 (1)政府の多重債務者対策本部に対して,速やかに多重債務に関する法律相談体制・カウンセリング体制の整備,ヤミ金融対策の強化及び貧困対策を含むセーフティネットの確立等,真に実効性のある多重債務対策の具体化を策定すること。

 (2)宮城県に対して,多重債務問題に取り組む弁護士会や関係団体の参加を募り,「多重債務対策協議会(仮称)」を設置し,万全な多重債務対策を行うこと。

 (3)宮城県警察本部に対して,ヤミ金融被害者に対する支援とヤミ金融に対する厳正な取り締まりを行うこと。

 (4)県内の市町村に対して,各地に多重債務相談窓口を設置する等して,地域の多重債務者の相談や生活支援を行うこと。

 (5)司法支援センターに対して,多重債務相談・受任体制を一層充実させ,予約相談及び法律扶助決定までの期間を可能な限り短縮すること。

3 前述の法改正に至るまでの間,当会は幾度も多重債務問題解決のため全力を傾けることを表明してきたが,この度の法改正により,社会全体で多重債務対策を講じるべきことが広く認識されるに至ったことに鑑み,以下の対策を行うことを明らかにする。

 (1)弁護士会館での多重債務相談の無料化を図ったことをふまえ,法律相談体制をさらに充実させるとともに,その広報につとめる。

 (2)宮城県に設置を求めている多重債務対策協議会(仮称)に参加し,県の多重債務対策を積極的に支援する。

 (3)県内の市町村に設置される多重債務相談窓口と連携し,多重債務者の支援及び救済を実施する。 

 (4)多重債務者の救済にはその生活支援も不可欠であることに鑑み,生活保護の申請代理等多重債務者・生活困窮者の支援を積極的に行う。

 (5)ヤミ金融の取り締まりは急務であることに鑑み,ヤミ金融被害の相談や積極的な刑事告発に向けた活動を行う。

 (6)県内の高等学校への出前講座の充実等,消費者教育の拡充・強化を図る。

 

  当会は,各関係機関に対して上記のような取り組みの実施を求めるとともに,自らも多重債務や貧困問題対策に積極的に取り組み,多重債務問題を社会からなくすことを目指して,今後も全力を傾けることをここに決議する。

                    

平成19年(2007年)2月24日    

仙台弁護士会  会 長  氏  家  和  男

 

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