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平成10年4月1日会長声明

1998年04月01日

スポーツ振興投票(通称サッカーくじ)法案に反対する会長声明

一、議員提案にかかる「スポーツ振興投票(通称サッカーくじ)」法案が、参議院文教・科学委員会で一部修正の上可決され、3月20日の参議院本会議において可決されて、衆議院に回付された。

しかし、今西の修正でも法案のもつ基本的な問題は残されている。

 

二、「サッカーくじ」は、サッカーゲームの勝敗を予想してくじを購入し、予想が的中すれば最高一億円の金銭を得るという仕組みであり、くじの購入が賭博行為にあたることは明らかである。

「サッカーくじ」法案はサッカーくじを公営ギャンブルとして合法化しようとするものであるが、たとえ合法化されようともギャンブルとしての本質を持つことに変わりはない。

「サッカーくじ」法案は、19歳未満の子どもにくじを販売することを禁止する条項をおいているが、「サッカーくじ」が青少年に人気の高いJリーグの勝敗を対象としていること、1枚100円のくじをコンビニエンスストアーなどでも販売することが予定されていること等からみて、青少年が現実に「サッカーくじ」を購入し、ギャンブルに巻き込まれていくおそれは極めて高い。

 

三、今日、恐喝などの金銭がらみの少年非行が大きな問題となっているが、「サッカーくじ」がこのような非行の新たな誘因となることも予想される。

また、販売禁止規定違反事件に関する捜査の際に、くじを販売した者の取調べにとどまらず、これを購入した青少年も事情聴取の対象とされることによって青少年に対する様々な悪影響も危惧されるところである。

子どもをめぐる深刻な事件が続発している今日、子どもを取リ巻く環境をより良いものにしていこうというのが多くの国民の願いである。

「サッカーくじ」法案は、子どもに直接・間接の悪影響を与える可能性が高いものであり、こうした国民の願いを踏みにじるものである。

 

四、スポーツは今日人類共通の文化としての地位を確立し発展している。

ギャンブルとスポーツとを結びつける「サッカーくじ」の導入は、こうしたスポーツの発展に障害をもたらすおそれがある。

また、サッカーの勝敗が賭博の対象とされることは、Jリーグに夢や憧れを抱いている青少年の健全なスポーツ観を歪めることにもなりかねない。

スポーツ振興予算確保のために「サッカーくじ」を導入するという理由づけがなされているが、スポーツ振興に必要な予算はギャンブルの収益によってまかなうのではなく、政府の責任で措置するべきである。青少年に悪影響を与えるおそれの高い新たなギャンブルを創設すべきではない。

以上の理由により、当会は、スポーツ振興投票法案に反対するものである。

 

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