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憲法改正国民投票法を抜本改正せずに国民投票を行うことに反対する会長声明

2018年03月13日


2018年(平成30年)の通常国会もしくは臨時国会において憲法改正発議がなされ,国民投票がなされる可能性があるとの報道がなされている。
当会は,2007年(平成19年)に日本国憲法の改正手続に関する法律(以下,「憲法改正国民投票法」という)が成立した当時,国民主権主義などの憲法の基本原理を尊重する見地及び硬性憲法の趣旨から,同法に最低投票率の定めがないこと,公務員及び教員の投票運動を禁止していること,憲法改正の発議後投票日15日前までの有料意見広告を可能にしていること,発議後投票日までの期間が短すぎること等,多くの重大な問題点があることを指摘し,憲法改正権者は国民であるという視点に立ち,国民投票に真に国民の意思を反映することができるような法律にするべく,同法の抜本的な見直しがなされることを強く要請した(2007年(平成19年)2月24日総会決議,同年5月16日付け「憲法改正手続法の抜本的見直しを求める会長声明」など)。
とりわけ,最低投票率の定めが導入されなければ,例えば投票率40%の場合には投票権者の20%超程度の賛成で足りることになり,投票権者のうち極少数の賛成により憲法が改正されるおそれがある。このように投票権者の3分の1にも満たない少数の賛成で憲法改正が承認されるのは,改正憲法の正当性・信頼性に疑義が生じ,きわめて不当と言わざるを得ない。そのため,日本弁護士連合会においても当会においても,少なくとも3分の2以上の最低投票率を定めることを強く求めてきた。
また,同法によれば,国民投票運動のための有料広告放送は,投票期日前14日間のみ禁止しているにとどまり,投票期日15日前までは自由に有料広告放送ができることになっている(105条)。そもそも,有料広告放送は,資金力の差により,放送時間帯や放送回数・期間,広告の質に圧倒的な差を生じさせうるものであり,資金力のある側が扇情的かつ大量の有料広告を放送することで国民の冷静な判断が阻害され,国民投票の結果に民意が正しく反映されなくなるおそれがある。かかる弊害を防止するために,表現の自由に対する脅威とならないような考慮を払いつつ,広告の公平性と適正さの確保のための方策を検討する必要がある。
さらに,公務員・教員の地位利用による国民投票運動の禁止についても,「国民投票運動を効果的に行いうる影響力又は便宜を利用して」というきわめて曖昧な規定の仕方であり(103条),禁止される行為と許容される行為の区別が明確ではなく,表現の自由や,学問の自由・教育の自由等に対する萎縮効果が生じうるという問題がある。
そして,発議後投票日まで最短で60日という期間(2条1項)は憲法改正の重要性からして明らかに短すぎる。
このように,憲法改正国民投票法には多くの重大な問題点があるため,参議院においても,同法の成立にあたり,当会が指摘した問題点と重なる内容の18項目もの附帯決議がなされていた。
その後,憲法改正国民投票法は,2010年(平成22年)5月18日に施行され,その後投票年齢を18歳とする改正等がなされたが,上記の問題点は何ら解消されていない上,国会で十分な審議もなされないまま,現在に至っている。
このような重大な問題を有する現行法のもとでの憲法改正は,主権者である国民の意思を真に反映するものとは認められない。
よって,当会は,国会に対して,改めて憲法改正国民投票法の前記問題点を解消するための抜本的改正を求めるとともに,現行法の下で国民投票を行うことに反対する。

2018年(平成30年)3月13日

仙 台 弁 護 士 会

会 長 亀 田 紳一郎

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