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旧優生保護法国家賠償請求訴訟の仙台高等裁判所判決を受けて、国に対し、上告を断念し、全ての被害者に対して謝罪と速やかな被害回復を行うよう求める会長声明

2023年10月26日

旧優生保護法国家賠償請求訴訟の仙台高等裁判所判決を受けて、国に対し、上告を断念し、全ての被害者に対して謝罪と速やかな被害回復を行うよう求める会長声明

 仙台高等裁判所第2民事部(小林久起裁判長、鈴木桂子裁判官、山崎克人裁判官)は、2023年10月25日、国の控訴を棄却し、旧優生保護法に基づく優生手術を強制された被害者に対し、国に損害賠償を命じた原審判決を維持する判決を言い渡した。
 本件は、22歳の時に優生手術を強制された60代の女性が2018年9月28日に、18歳の時に優生手術を強制された70代の男性と15歳の時に優生手術を強制された80代の男性が同年12月17日に、それぞれ損害賠償を求めて仙台地方裁判所に提訴した事件の控訴審である。
 「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを「目的」として1948年に制定された旧優生保護法は、1996年に母体保護法に改正されるまでの48年間、障害があることを理由として不妊手術約2万5000件、人工妊娠中絶約5万9000件、合計約8万4000件に及ぶ優生手術を強制し、多くの当事者から子を産み育てるか否かを決定する自由を奪い、人としての尊厳も傷つけた。
 2023年3月6日に言い渡された本件の第一審(仙台地方裁判所)判決は、旧優生保護法が憲法13条、同14条及び同24条2項に違反することを認めた上で、除斥期間の効果の発生を制限すべきとして、国に損害賠償を命じた。
 2022年2月22日に大阪高等裁判所が、同年3月11日に東京高等裁判所が、いずれも国に損害賠償を命ずる判決を言い渡し、これらに続き、2023年1月23日の熊本地方裁判所判決、同年2月24日の静岡地方裁判所判決、同年3月6日の前記仙台地方裁判所判決、同月16日の札幌高等裁判所判決と国に損害賠償を命じる判決が続いている。
 今回の仙台高等裁判所における判決も、これらの判決と同様に、旧優生保護法が憲法違反であることを明確に認めた上で、期間の経過による損害賠償請求権の消滅を否定し、国に損害賠償を命じたものである。
 これらの判決によって、優生手術を強制された被害者に対し、期間の経過による損害賠償請求権消滅の効果を適用することは著しく正義・公平の理念に反するという司法の判断は固まったというべきである。また、これらの判決が、一時金支給法で定められた支給額を大幅に上回る賠償額を認定していることから、同法による補償が極めて不十分であるという司法の判断も固まったというべきである。かかる司法の判断を国は重く受け止めなければならない。
 すでに被害者は高齢となっており、現に、本件訴訟の原告の一人だった60代の女性は、第一審係属中に亡くなり、訴訟を取り下げざるを得なかった。また、全国の原告の中にも亡くなった方が複数名出ており、もはや全面的解決に一刻の猶予も許されない。
 よって、当会は、国に対し、本判決に上告せず本判決を確定させるとともに、本件原告に対する謝罪と速やかな被害の全面的回復を行うことを強く求めるものである。そして、一時金支給法を抜本的に見直し、全ての被害者に対しても全面的な被害回復の措置を講じることを強く求めるものである。

2023年(令和5年)10月25日

仙 台 弁 護 士 会

会 長  野 呂   圭

※ルビありの会長声明はこちらよりご確認いただけます。

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