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接見室確保を求める意見書

2024年03月29日

接見室確保を求める意見書

2024年3月29日

仙台地方裁判所 御中
仙台地方検察庁 御中
仙台拘置支所 御中
宮城県警察本部 御中

仙 台 弁 護 士 会

会 長  野 呂  圭

第1 意見の趣旨
 当会は、御庁に対し、以下の点を求めます。
 1 裁判所、検察庁、拘置支所及び各警察署の接見室が工事等で使用できないときには、弁護人(本意見書では弁護人となろうとする者及び当番弁護士を含みます。)と被疑者・被告人が立会人なくして接見できる代替の部屋を確保すること。
 2 今後、工事等の理由により接見室が使用できなくなる予定があれば、早期にその予定を当会に連絡すること。

第2 意見の理由
1 本意見書を発出するに至った経緯
 2024年3月15日(金)、塩釜警察署留置管理課より当会宛に、「接見室の空調入替設置工事のため、3月16日(土)及び同月17日(日)の日中の時間帯について接見室が利用できないこと。両日とも17時で工事が終了する予定となっているものの、作業の進捗によっては17時以降も接見室が利用できない可能性がある。」との連絡がありました。
 その後、当会副会長が取調室等代替の接見できる部屋の確保を求めたところ、同課からは、「取調室は逃亡防止や面会者への危害防止の措置が難しいため、警察官立会の下であれば接見可能であるが、立会人なしの接見が可能であるかは約束できない。」旨の回答がありました。
 当会は、塩釜警察署留置管理課の上記対応は、弁護人と被疑者・被告人との接見交通権の保障を著しく軽視するものであるため、今後二度とこのような対応が生じないようにすべく、接見室を備えている機関に対し、本意見書を発出することにしました。

2 接見交通権の重要性
 刑事訴訟法39条1項は、弁護人依頼権を保障した憲法34条を受けて、被疑者・被告人に弁護人とだけは立会人なくして自由な接見(面会)ができる権利(接見交通権)を保障しています。自由に、かつ立会人の付かず秘密が保障される接見交通の下で、被疑者・被告人も安心して弁護人に相談できますし、弁護人にとってもその職責を果たす上で自由で秘密性が保障された接見は不可欠です。
 それ故、身体拘束された被疑者・被告人の接見交通権の保障を確保することは、身体拘束している施設側の義務でもあります。

3 工事等により接見室が使用できない場合には代替措置を講じる義務があること
 前記2で述べたとおり、施設側には接見交通権の保障を確保する義務がある以上、接見室が工事等で使用できない場合であっても、代替措置を講じないまま接見室の利用ができない状態を継続することは、被疑者・被告人の接見交通権を不当に制限するものとなります。

4 取調室では逃亡防止や弁護人への危害防止の措置が難しいため、代替措置を講じられないという説明について
 まず、逃亡のおそれや弁護人への危害のおそれについて相当の蓋然性があるのかが不明であり、一般的にそのようなおそれを理由に接見交通権を制限することは許されません。
 次に、仮に逃亡防止や弁護人への危害防止ということであれば、取調室から外に出る動線に留置管理課職員を配置したり、弁護人に対して何かあった場合にはすぐに呼ぶよう声掛けするなどして対応可能です。なお、裁判官が裁判所構内の勾留質問室(面会の相手方との間を仕切る設備(アクリル板)を備えていない)において被告人と弁護人との立会人なしの接見を許可した例もあります(鳥取地裁平成30年11月26日判決参照)。

5 よって、当会は、①接見室が工事等で使用できないときには、弁護人と被疑者・被告人が立会人なくして接見できる代替の部屋を確保すること、②今後、工事等の理由により警察署内の接見室が使用できなくなる予定があれば、早期にその予定を当会に連絡することを求めます。

以上

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