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2024年度の司法試験における厳正な合格判定を求める会長声明

2024年08月21日

2024年度の司法試験における厳正な合格判定を求める会長声明

 2024年11月6日、2024年度の司法試験の最終合格発表が行われる。

 近年、司法試験の出願者数及び受験者数は、減少傾向が続いている。2016年度の出願者数は7,730人、受験者数は6,899人であったところ、2024年度の出願者数は4,026人、受験者数は3,779人にとどまる。

 2015年6月30日、政府の法曹養成制度改革推進会議は、司法試験の合格者数を年間「1,500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め」ると決定した。以後、2016年度から昨年2023年度までの司法試験の合格者数は、年間1,500人前後か、それ以上の人数を維持してきた。出願者数の減少傾向に関わらず合格者数が維持されたことにより、司法試験の合格率は、2016年度は合格率22.95%であったところ、2019年度は30.66%、2023年度は45.34%と、2倍程度に上昇してきている。

 このような2016年度以降の出願者数及び受験者数の減少傾向にかかわらず、2015年になされた「年間1,500人程度は輩出」されるべきとの政府方針にただ従って合否の判定がなされるならば、司法試験制度に本来期待される選抜機能が大きく損なわれ、合格者の質を制度的に担保できない事態も想定される。

 司法は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とするものであり、その司法を担う法曹の質の維持・向上は,国民にとって重大な課題・要請であるから、合格者数の確保のみが優先されるようなことがあってはならない。法曹養成制度改革推進会議の上記決定では、「輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものではないことに留意する必要がある」とも指摘しており、法曹の質の確保が前提となっている。

 司法試験は、「裁判官,検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する」ことを目的にしている(司法試験法1条)。司法試験委員会に求められているのは、安易に一定数の合格者を輩出することではなく、司法を担う法曹に必要な学識及びその応用能力を適正かつ厳正に判定することである。

 よって、当会は、2024年度の司法試験の合格判定にあたって、1,500人程度とされる合格者数の確保のみを優先させることなく、司法を担う法曹の質の維持・向上の要請をふまえた厳正な判定がなされることを求める。

2024年(令和6年)8月21日

仙 台 弁 護 士 会

会 長  藤 田 祐 子

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