⼈はすべて、個⼈として尊重され、性別に関わりなくその個性と能力を十分に発揮する自己実現の権利が保障されています。
我が国においては、1999年に男⼥共同参画社会基本法が制定され、男⼥共同参画社会の実現が「21世紀の我が国社会を決定する最重要課題」と位置づけられ、「社会のあらゆる分野において、男⼥共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくこと」が求められています(同法前文)。
しかし、現在の我が国の社会における男⼥間格差は依然として⼤きく、専門職である士業においても女性の割合は未だに伸び悩んでいます。社会における男性と女性の人口比率はほぼ半々であり、各士業業務の向き不向きや能力には男女差はありませんが、2023年の女性弁護士割合は19.8%、女性司法書士割合は19.0%、女性公認会計士割合は16.3%にとどまっています。このような現状はおよそ健全な状態とは言えません。どの職種でも、男女が共同して参画することは必要かつ重要ですが、社会の重要な一翼を担う専門家である士業においては特に、過去から現在に至るまで、男性に比べ女性がその職業に就くことは珍しいとされがちです。これが各士業において女性割合が伸び悩んでいる原因の一つと考えられます。私たちは、私たち専門家集団である士業団体における男女共同参画の実現がなされなければ真の男女共同参画社会の実現もなされないと考えています。私たち士業団体こそ、広く男女共同参画を実現する社会のモデルとなるべきです。
女性士業者の割合が低迷しているという現状の背景には、我が国の社会全体に固定的な役割分担意識に基づく制約や差別が根強く残っているという厳然たる事実があり、これは特定の士業会また一地方の士業会の取り組みにより容易く解決できるという問題ではありません。しかし、各地の各士業団体における小さな取り組みが集積されることにより、その地方が、また社会全体が変わっていく道が必ず開けてゆくものと信じています。私たち一地方の士業団体がはっきりとした目的意識をもって具体的取り組みを地道に積み重ねて行くことは、必要かつ重要な責務であると考えます。
私たちは、現代社会になお存在するジェンダー・バイアス(男女の役割について固定的な観念を持つこと)やアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)に根ざす不平等の解消のために努力し、女性が生涯携わる職業として各士業を当たり前のように選択肢に入れる社会の実現をめざします。そして各士業の存在意義及び使命を改めて自覚すると共にそれを社会にも広く発信し、組織としての多様性の獲得や発展をめざし、更に社会の男女共同参画の推進及び実現をめざしていきます。
本年度、初めて、私たち各会の代表者をいずれも女性がつとめるということになりました。これを契機として、私たちは改めて、士業団体における男女共同参画の重要性を認識し、その実現をめざす社会的責務を負うことを自覚しています。
そこで、私たちはこの度、共同して声明を発出します。
2025年(令和7年)3月10日
仙台弁護士会会長 藤 田 祐 子
宮城県司法書士会会長 森 田 み さ
日本公認会計士協会東北会宮城県会会長 小 山 かほる