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骨太の方針2025を踏まえた「谷間世代」に対する是正措置を求める会長声明

2025年10月23日

骨太の方針2025を踏まえた「谷間世代」に対する是正措置を求める会長声明

 司法試験に合格した者は、弁護士資格認定制度による場合のほかは司法修習を経て法曹となる。司法修習では、全国各地の裁判所・検察庁・法律事務所で実務的な研修を受け、埼玉県にある司法研修所で書面作成などに集中的に取り組んだ上で、二回試験とも呼ばれる司法修習生考試に合格することで法曹資格を与えられる。
 司法修習期間中は修習専念義務が課され、許可無くアルバイトや副業などを行うことができない。そのため、終戦直後の1947年から60年以上にわたり司法修習生には公務員に準じた給与が国から支給されてきた。しかし、2011年に給費制が廃止され、2011年から2016年の間に司法修習を開始した新65期から70期の司法修習生、いわゆる「谷間世代」の司法修習生に対しては給与が支給されなかった。2017年に裁判所法が改正され、修習給付金制度が創設されてからも、谷間世代に対する遡及措置がとられることも無かった。
 そもそも三権の一翼としての司法を担う法曹の養成は本来国の責任で行うべきものであり、その趣旨からすれば司法試験合格後の司法修習期間、すなわち法曹養成期間における費用については国が支給をすべきものである。全法曹の約5分の1を占める谷間世代の法曹の活躍を後押しすることは、市民の権利擁護にもつながるものである。それにもかかわらず国がその責任を果たさないのは不公正である。また、谷間世代の司法修習生とそれ以外の時期の司法修習生の間では等しく修習専念義務が課されていたことも考えれば、両者の間に生じた待遇の差は不平等なものである。
 当会は、2023年3月9日付け「いわゆる『谷間世代』に対する一律給付の実現を求める会長声明」を発出し、新65期から70期の司法修習終了者に対して一律の給付措置を講じることを求め、日本弁護士連合会が基金制度の創設を提案して以降は、同連合会及び全国の弁護士会と共に、谷間世代に対し修習給付金と同額の一律給付による解決又は実質的に谷間世代への一律給付と異ならないような基金制度の創設を目指して活動してきた。
 そうしたところ、2025年6月13日に閣議決定された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025」(いわゆる骨太の方針2025)34頁には「法曹人材の確保等の人的・物的基盤の整備を進める」と記載され、その注記172には「公益的活動を担う若手・中堅法曹の活動領域の拡大に向けた必要な支援の検討を含む」と明記され、日本弁護士連合会の提案する実質的に谷間世代への一律給付と異ならないような基金制度の創設構想についての理解が広がり、その実現に向けた機運が高まってきている。
 当会は、引き続き、日本弁護士連合会及び全国の弁護士会と共に、谷間世代に対する不公正かつ不平等な取扱を是正するため一層の活動を行う決意であることを表明するとともに、国及び関係機関に対し、谷間世代への一律給付による解決又は一律給付と異ならないような国による基金制度の早期実現を強く求める。

 

2025年(令和7年)10月23日 

仙 台 弁 護 士 会  

会 長  千 葉 晃 平

 

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