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平成22年12月15日会長声明

2010年12月16日

少年の裁判員裁判事件における死刑判決を受けての会長声明

 2010(平成22)年11月25日、仙台地方裁判所において、殺人罪等に問われた19歳(犯行時18歳)の少年に対して、少年の裁判員裁判事件で初めての死刑判決が言い渡された。

 子どもの権利条約は18歳未満の子どもに対する死刑を禁止しており、少年法も第51条で「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」として、罪を犯した当時18歳未満の少年に対しては死刑を科さないとしている。これは、18歳未満で重大な事件を起こした少年の場合、成育過程においていくつものハンディを抱えていることが多く、精神的に未成熟であることから、あらためて成長と更生の機会を与え、自らの行為の重大性に向き合わせようとする趣旨である。
 これらの法の趣旨は、犯行時18歳・19歳のいわゆる年長少年の事件についても尊重されるべきで、その更生可能性の評価・判断は成人の場合以上に慎重を期して行われる必要がある。

 当会は、裁判員制度実施に先立ち、2008(平成20)年10月7日付けで「裁判員制度の課題に関する意見書」を発表し、その中で、少年逆送事件と裁判員制度のあり方について、「少年の原則逆送対象事件(少年法20条2項本文)は裁判員裁判対象事件でもあるが、少年事件は、少年の情操保護・更生への配慮が必要とされており(少年法1条、50条、刑訴規則277条)、保護主義の観点から逆送事件について裁判員裁判の問題点を検討する必要がある。」との意見を表明した。
 少年逆送事件、とりわけ死刑選択が争点となる少年逆送事件の裁判員裁判については、被告人となっている少年の更生可能性の評価・判断を成人の場合以上に慎重を期して行われる必要があることとの関係で、その審理のあり方や裁判員への説示等についてなお検討すべき課題があり、この点は裁判員裁判における最重要課題の一つとして早急に検討されなければならない。

 当会は、国に対して、少年逆送事件、特に死刑選択が争点となる事件の審理のあり方について、それらの事件を裁判員裁判の対象とすることの是非を含めて検討するように強く求める。
 

2010(平成22)年12月15日

仙 台 弁 護 士 会      

会 長  新 里 宏 二

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