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平成24年3月14日「東日本大震災から1年を経過しての復興支援に関する宣言」

2012年03月19日

東日本大震災から1年を経過しての復興支援に関する宣言

 

1 2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災から1年が経過した。
  当会は,震災で亡くなった多くの方々に対し,謹んで哀悼の意を表明する。
  震災による死者行方不明者は2万人弱,全半壊家屋は37万戸を越えており,その被害は,甚大かつ広範囲である上に,福島第一原子力発電所事故により,さらに複合的かつ極めて深刻なものとなった。
  当会は,震災後ただちに被災者救済に向けて最大限支援する旨を宣言するとともに,被災者一人一人が立ち直るための「人間の復興」を基本視座として,支援活動を続けてきた。
2 個別の法的支援活動としては,迅速かつ広範囲に相談ニーズに対応すべく,日弁連・法テラスの協力のもと,電話無料相談及び県内全域にわたる無料巡回相談を実施し,その対応件数は合計1万7千件を超えた。
さらに,相談拠点を確保すべく,石巻・気仙沼の法律相談センターの復旧・増強とともに,南三陸・東松島・山元に開設された法テラス臨時出張所に法律相談センターを併設して無料法律相談を実施した。
現在,地震保険等を受給した被災者が法テラスの扶助相談や代理援助制度を利用できない状況にあり,資力を問わない被災者救済に向けた特別措置法の早期成立を強く求めているところである。
また,簡易迅速な解決制度を構築すべく,当会紛争解決支援センター(ADR)申立費用を無料にするとともに,申立手続を弁護士が無料でサポートする震災ADR制度を創設した。利用件数は360件を超え,多くの事案を短期間で解決に導けた。当会は引き続き震災ADRを通じて被災者が理解と譲歩の中に一人一人の復興を見いだせるべく努力を続ける所存である。
3 被災者救済に向けた制度の創設・運用改善に向けた提言活動として,災害救助法をはじめとする災害法制の積極活用を求めてきたが,現在,32万人を越える被災者が応急仮設住宅等へ避難しているほか,約580名が避難所に暮らしており,いまだ災害救助の段階が終わったわけではないことを忘れてはならない。また,次なる災害への備えとしても災害法制の充実・整備は急務である。
また,二重ローン解消に向けて,当会は緊急請願活動をはじめ尽力してきたところであるが,個人版私的整理ガイドラインが創設され,自由財産の拡張をはじめ柔軟な解決に向けた運用が図られてきたことは評価できるが,被災者救済の観点から一層の充実深化が検討されるべきである。
また,活動の結果,㈱東日本大震災事業者再生支援機構法が制定され運用が開始されたが,できる限り多くの事業者に再生の機会を与えるという制度趣旨を踏まえ,被災者救済の観点から,産業復興機構とともに積極的かつ柔軟に運用されるべきである。
4 そのほかにも,士業連絡会と連携した総合的支援,災害弱者救済に向けた諸活動,原子力損害賠償解決基準の充実,まちづくりに向けた被災住民へのサポートなど復旧・復興に向けた諸課題は山積しているが,被災者の「人間の復興」を実現するためには,基本的人権の保障に留意しつつ,生活・営業・労働機会の復興を具体化しなければならない。
  当会は,東日本大震災から1年が経過したことを契機に,改めて被災者及び被災地に対する支援の一層の充実を関係諸機関に求めるとともに,自らも,被災者や被災地の復興に向けた支援活動に,これまで以上に邁進する決意であることをここに表明する。
 
2012年(平成24年)3月14日

仙 台 弁 護 士 会 
会 長    森 山  博  

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