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死刑執行に対する会長声明

2013年03月13日

2013(平成25)年2月21日,大阪拘置所、東京拘置所及び名古屋拘置所において,各1名合計3名の死刑確定者に対する死刑の執行が行われた。

 

死刑は,罪を犯した人の更生と社会復帰の観点から見たとき,その可能性を完全に奪うという問題点を内包している。また,わが国の刑事裁判においては,4つの死刑確定事件(免田事件,財田川事件,松山事件,島田事件)の再審無罪判決が確定し,死刑確定事件における誤判の存在が明らかとなっているが,誤判が生じるに至る刑事裁判の制度上・運用上の問題点は抜本的な改善がなされていない。

 

国際的にみても死刑廃止国は着実に増加し、現在の死刑廃止国(事実上の廃止国を含む)は141か国、死刑存置国は57か国であり、国際社会において死刑廃止が潮流となっていることは明らかである。1989(平成元)年12月の国連総会で死刑廃止条約が採択されて以来、国連の各種委員会からは、わが国に対して死刑廃止を求める決議や勧告が度々なされてきた。フランスやドイツの政府からも,今回の死刑執行に対し,死刑廃止に向かう世界的な流れに逆行するものであり,死刑執行を一時停止し,死刑制度について国民的議論を行うことを要請する声明が出されている。

 

当会は,これまで,政府に対して,死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間,死刑執行を停止するよう繰り返し要請してきた。

また,日弁連は,本年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、死刑制度に関する当面の検討課題について国民的議論を行うための有識者会議を設置し、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し、死刑制度に関する世界の情勢について調査のうえ、調査結果と議論に基づき、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと、そのような議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること等を求めていた。

その直後に死刑執行が行われたものであり,当会はかような事態に対して深い憂慮の念を示すとともに,強く抗議するものである。

 

当会は,政府に対し,死刑制度が最も基本的な人権に関わる重大な問題であることに鑑み,死刑の執行を停止したうえで,死刑制度の存廃も含む抜本的な検討を行うことを重ねて強く要請するものである。

 

2013(平成25)年3月13日

 仙台弁護士会会長 髙 橋 春 男

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