長崎市長に対する銃撃事件に厳重抗議する会長声明
本年4月17日、JR長崎駅前で伊藤一長長崎市長が暴力団幹部に背後から短銃で銃撃されて死亡するという事件が発生した。
このような犯行は、現職の市長に対し市長選の選挙期間中を狙って行われた銃撃行為であり、政治活動に対する究極の抑圧であって、民主主義に対する重大な挑戦として断固糾弾されるべきである。
また、本件は、その標的となった当該政治家のみならず行政関係者に対して極めて大きな萎縮効果を与えるもので、公正、公平であるべき行政の健全性を著しく阻害する行政対象暴力としても許し難い。
本件銃撃が、尊い人命を奪う結果となったという一点において到底許容できないことは言うまでもないが、さらにその上、JR駅前という場所柄一般市民を巻き添えにしかねない多大な危険性を孕み、市民生活の平穏に対して重大な脅威を与えたものであることも看過し得ない。
このように、本件事件は、様々な意味で基本的人権の尊重と民主主義を基盤とする憲法秩序への重大な挑戦であり、断じて許されるべきものではなく、当会は今回の暴力行為に対して厳重に抗議する。
さらに、本件犯行は、暴力団の凶暴性を如実に現しているとともに、その背景には所属する上部団体からの上納金の要求があったとの報道がなされているように、暴力団という組織そのものがこのような凶行を容易に引き起こさせる構造的要因を持っていることを示している。したがって、犯人である暴力団幹部に対してはもちろんのこと、本件凶行を生み出した暴力団そのものの根深い反社会性にも強い憤りを禁じえない。
当県においても、仙台市内で本年3月下旬、一般市民も居住するマンションで指定暴力団組員による拳銃発砲事件が連続発生し、市民生活が脅かされている状況にあることを踏まえ、当会は、引き続き関係諸団体と一致団結して暴力団の追放と壊滅に最大限の努力を傾けることをここに改めて決意するものである。
2007年(平成19年)4月27日
仙台弁護士会 会 長 角 山 正