憲法改正手続法の抜本的見直しを求める会長声明
本年5月14日、憲法改正手続法が、参議院本会議において可決成立した。
当会は、国民主権主義などの憲法の基本原理を尊重する見地から、また硬性憲法の趣旨からも、憲法改正手続法案に対し、最低投票率の定めがないことをはじめ、公務員及び教員の投票運動を禁止していること、憲法改正の発議後投票日14日前までの有料意見広告を可能にしていること、発議後投票日までの期間が短すぎること等、多くの重大な問題点があることを指摘してきた。また、当会は、参議院での慎重審議を尽くすよう強く要請してきた。
にもかかわらず、法案は、上記の問題点が何ら解消されないままに、極めて短い期間で、広く国民的論議が尽くされることなく可決成立してしまった。同法が可決される際、最低投票率制度の意義・是非について検討することを含む18項目にも亘る附帯決議がなされたことは、同法が多くの重大な問題点を残し、かつ、十分な審議を経ていないことを如実に示すものである。国民主権にかかわる最重要の法案が、国民の意思を十分に汲み取ったとは言えない拙速な審議によって成立してしまったことは誠に遺憾である。
憲法改正手続法の国民投票に関する規定の施行は公布から3年後とされた。当会としては、国会に対し、この3年の間に、附帯決議がなされた事項にとどまらず、憲法改正権者は国民であるという視点にたち、あらためて国民投票に真に国民の意思を反映することができるような法律にするべく、同法の抜本的な見直しがなされることを強く要請する。
2007(平成19)年5月16日
仙台弁護士会 会 長 角 山 正