2013年(平成25年)9月4日、最高裁大法廷は、嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子の2分の1と規定する民法第900条第4号ただし書前段の規定(以下「本規定」という)について、「婚姻、家族の在り方に対する国民の意識の多様化が大きく進んで」おり、「家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識」されてきたことに伴い、「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているものということができる」等の理由から「立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的根拠は失われている」として、本規定は憲法第14条第1項に違反して無効であると判示した。また、同月18日にも、最高裁大法廷において、同旨の決定がなされた。一連の最高裁決定は、本規定について、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして、検討吟味した上で、明確に違憲との判断を下したものであり、当会はこれを高く評価するものである。
すでに、法制審議会においては「民法の一部を改正する法律案要綱」を1996年(平成8年)総会において決定しており、男女とも婚姻適齢を満18歳とすること、女性の再婚禁止期間の短縮、選択的夫婦別姓の導入、そして嫡出でない子と嫡出子の相続分を同等とすることを答申していた。また、国連の自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会、児童の権利委員会及び社会権規約委員会は、日本政府に対し、本規定を含むこれら差別的規定の早期改正を求める等の勧告を行ってきたが、いまだ民法規定の改正はなされていない。
当会は、すでに2010年(平成22年)4月22日、両性の本質的平等と男女共同参画社会実現の観点から「民法(親族編・相続編)の早期改正を求める会長声明」を発し、同声明において選択的夫婦別姓の導入・婚外子の相続分差別撤廃等の早期改正を求めていたが、今般、上記のような違憲判断が出た以上、国に対して、速やかに本規定を改正することを求め、併せて、夫婦同姓しか認めない民法第750条、再婚禁止期間を定める同法733条、婚姻年齢に男女の差を設ける同法第731条という差別的規定についても改正することを強く求めるものである。
2013年(平成25年)10月18日
仙 台 弁 護 士 会
会長 内 田 正 之