例外なき金利規制を求める会長声明
貸金業制度、出資法の上限金利の見直しを検討していた自由民主党と公明党は、本年7月6日、「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」(以下「基本的考え方」という)をとりまとめた。この中では、グレーゾーン金利を廃止すること、原則として出資法の上限金利を利息制限法まで引き下げること、日賦貸金業者の特例金利を廃止することを打ち出している。当会は、本年2月26日の「多重債務問題解決のために出資法の上限金利の引き下げ等を求める決議」等、金利の引き下げを繰り返し求めてきたものであり、評価しうるものである。
しかし、本年7月27日、「基本的考え方」を受け、金融庁・貸金制度等に関する懇談会が開催されたが、貸金業者側から、「基本的考え方」で検討課題として残された「少額短期」等の特例について採用すべきとの意見が多数出され、今後、特例金利の採用を阻止できるか予断を許さない状況にある。
言うまでもなく、「基本的考え方」は、少額短期の貸付や事業者に対する貸付につき特例金利の是非を検討課題としているが、このような特例の設置は、規制の骨抜きになりかねない。
また、「基本的考え方」は、考慮すべき点として、「物価上昇を考慮して利息制限法の制限金利の金額刻みの引き上げ」、「利息制限法を20%に一本化」すること等の意見があったとする。現在の銀行平均貸出金利が年2%を下回っていることをふまえれば、現行の利息制限法の制限金利年15〜20%ですら、極めて高利となっていると評価すべきであり、これらの意見は、金利適正化への動きに逆行すると言える。
さらに、「基本的考え方」は、保証料、ATM手数料等を金利とは別の費用として認める余地を示しているが、貸金業者が、保証料や調査手数料、媒介手数料、仲介料等のあらゆる名目を使って手数料等を徴収し、実質的には出資法の金利をはるかに超える金利負担を強いるという被害が横行していることからすれば、別の費用と認めることは、脱法行為を一層招来するおそれが極めて高いというべきである。したがって、金利概念を広くとらえ、保証料、ATM手数料等も金利に含めることは不可欠である。
以上のような理由から、当会は、改めて、出資法の上限金利を例外なく一律に利息制限法の制限金利年15%〜20%まで引き下げることを強く求める。
2006年(平成18年)8月10日 仙台弁護士会 会長 氏 家 和 男