本日,安倍晋三内閣は,従来「自衛権発動の三要件」の第1要件とされていた「我が国に対する武力攻撃が発生した場合」に加え,「又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」にも自衛権を行使できるとする閣議決定を行った。これは,集団的自衛権の行使を容認するものであり,従来の政府の憲法解釈の変更である。
自国が攻撃されていないにもかかわらず,他国間の戦争に軍事的に関与することを可能にする集団的自衛権の行使は,前文で平和的生存権を確認し,第9条で戦争放棄,戦力不保持及び交戦権否認を定めた恒久平和主義をとる日本国憲法の下では許されない。それ故,日本政府も過去数十年にわたり,集団的自衛権については憲法の中に我が国として実力を行使することが許されるとする根拠を見いだし難いとして,その行使は憲法上許されないとの見解を示してきた。
従来の政府解釈を変更し,集団的自衛権の行使を容認する本日の閣議決定は,日本国憲法の基本原理である恒久平和主義に反する。同時に,閣議決定により憲法による歯止めを緩和させる解釈変更は,憲法によって国家権力を制約するという立憲主義に反するとともに,厳格な憲法改正手続を定めた第96条を潜脱して実質的に憲法改正を行おうとするものである。
当会は,このような憲法に違反する閣議決定に強く抗議するとともに,その即時撤回を求める。
2014年(平成26年)7月1日
仙 台 弁 護 士 会
会長 齋 藤 拓 生