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死刑執行に断固抗議し,死刑執行を停止するとともに,死刑に関する情報を広く公開し,死刑制度の存廃に関する国民的議論を求める会長声明

2014年07月11日

本年6月26日,大阪拘置所にて,死刑確定者1名に対する死刑の執行が行われた。谷垣禎一法務大臣による5度目の死刑執行である。

 

当会は,これまでも,死刑が罪を犯した人の更生と社会復帰の観点から見たとき,その可能性を完全に奪うという問題点を内在しているものであること,誤判・えん罪による生命侵害という取り返しのつかない危険を内包するものであることから,政府に対し,死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行い,その間死刑の執行を停止するよう繰り返し求めてきた。

 

そして,当会は,昨年5月22日付けの会長声明において,政府が死刑制度を廃止することが適当ではない理由として挙げている点に関し,第1に,死刑制度に関する情報が国民に周知されていない状況における世論調査は死刑制度を正当化するものとしては説得力に乏しいと言わざるを得ないこと,第2に,我々国民が死刑制度の存廃について十分に議論を尽くし意見を形成するためには死刑制度に関する情報が広く公開されることが必要であること,第3に,死刑の犯罪抑止効果は科学的・統計的に証明されているとは言い難いことを指摘した。その上で,死刑の執行を停止し,死刑に関する情報を広く国民に公開し,死刑制度の存廃に関する国民的議論を開始することを要請していた。

 

さらに,当会は,昨年9月19日付け会長声明及び12月13日付け会長声明においても,国民への情報公開,国民的議論を尽くさないまま死刑執行を行った政府に対し,抗議したばかりである。そのような中,政府が,前回の執行からわずか6か月後に今回の死刑執行を行ったことについては,死刑制度の存廃を含む抜本的な検討と見直しの必要性を軽視し,死刑制度が基本的人権に関わる極めて重要な問題であることへの配慮を著しく欠いたものと言わざるを得ない。

 

よって,当会は,政府に対し,今回の死刑執行について,断固抗議するとともに,死刑制度が最も基本的な人権に関わる重大な問題であることを踏まえ,死刑廃止が国際的潮流となっている事実を真摯に受け止め,死刑の執行を停止した上で,死刑に関する情報を広く国民に公開し,死刑制度の存廃に関する国民的議論を開始するよう改めて要請する。

 

2014年(平成26年)7月10日

                      仙 台 弁 護 士 会

                        会長 齋 藤 拓 生

 

 

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