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平成16年11月17日会長声明

2004年11月17日

自衛隊のイラク派遣延長反対・即時撤退並びに「イラク特別措置法」の廃止を求める会長声明

 小泉首相は、人道復興支援という名目のもと、本年12月14日に期限を迎える自衛隊派遣期間を延長しようとしている。

 しかし、現在イラクでは、米軍が1万5000人もの兵力でファルージャに対する攻撃を行い、市内中心部の医療施設までが爆撃を受け、民間人を含む多数の死傷者が出ている。他方「武装勢力」側もこれに徹底的に交戦する意向を示し、日夜戦闘行為が続いている。

 また、11月7日には暫定政府のアラウイ首相が全土に非常事態宣言を発するなどイラク全土が戦闘状態にあり、既に自衛隊宿営地内にもロケット弾が打ち込まれる事件が発生していることもあわせると、自衛隊が派遣されているサマワも「非戦闘地域」でないことは一層明らかとなっている。

 そして、11月17日には、イラクの反米武装勢力の幹部が、「自衛隊は占領軍」と規定することと決めた、「われわれは占領者と戦っており、日本もその戦いの(相手の)一部になった」と言明した、と報道されるに至っている。

 このような状況下で自衛隊の派遣期間を延長すれば、自衛隊が攻撃を受けて武力行使に及び死傷者を発生させる危険性や隊員に被害が出る危険性は一層高くなっている。世論調査の結果をみても63%の国民が派遣延長に反対しており(賛成25%。朝日新聞10月26日付)、また、政権党である自民党の中からも派遣延長に反対の声があがっている。

 11月11日には野党3党が共同で「イラク特別措置法」廃止法案を衆議院に提出した。そして、今会期中の早急な審議入りを要望している。

 そもそも米英軍によるイラク攻撃は、国連憲章に反する違法行為であり、また、アメリカが戦争の大義とした大量破壊兵器が存在しないこと、フセイン政権とアルカイダとの関係についても何ら証明されていないことは、本年9月にパウエル国務長官自身が認めている。

 国連のアナン事務総長も、米英軍によるイラク攻撃は国連憲章に反することを名言しており、イラク戦争の正当性は全く否定されている。

 当会は、2003年3月24日付け「アメリカとイギリスによるイラクへの武力攻撃に反対する会長声明」で、大規模爆撃を含む武力攻撃は、多数の市民の声明を奪う最大の人権侵害であり真の平和と安全をもたらさないことを指摘した。

 更に、本年4月12日付け「自衛隊のイラク即時撤退を求める会長声明」で、自衛隊派遣の根拠となる「イラク特別措置法」は、イラクにおける自衛隊の武力行使を事実上容認するもので、国際紛争を解決する手段として武力による威嚇又は武力の行使を禁じた日本国憲法に違反するおそれが極めて高いものであること、イラクへの自衛隊派遣は、国連憲章に違反する米英軍の武力行使と一体化するものと評価されることが明らかであって憲法に反すること、自衛隊の派遣されているサマワも迫撃砲が撃ち込まれるなど「非戦闘地域」とはいえないことが明らかになってきたこと、従って「自衛隊等の対応措置は非戦闘地域において実施」するとのイラク特別措置法の規程自体にも違反することなどを指摘した。

 前述したイラクの悲惨かつ憂うべき現状等は、これまで当会が指摘してきた憲法上、法律上の問題点や危惧を裏付けるものとなっている。

 よって、当会は、以上に述べたイラクの実情に鑑み、改めて日本政府に対し、自衛隊の派遣期間を延長することなく即時撤退させること、国会に対し、憲法に違反する恐れの極めて高い「イラク特別措置法」を廃止することを求めるものである。

 

 2004年11月17日

  仙 台 弁 護 士 会 

  会 長  鹿  野  哲  義

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