アメリカとイギリスによるイラクへの武力攻撃に反対する会長声明
アメリカ軍とイギリス軍は、3月20日早朝、国連安全保障理事会の決議を経ることなく、トマホーク巡航ミサイルなどで、イラクへの武力攻撃を開始した。そして、小泉首相は、両国の武力攻撃を支持することを表明した。
国連憲章は他国への武力攻撃を原則として禁止しており、例外的に武力行使が許されるのは、安保理が必要な措置をとるまでの間の自衛権の行使として、或いは、平和に対する脅威等に集団的措置で安保理の決議に基づく行動としてなされる場合に限られる。しかし、現在、イラクはアメリカ、イギリス等に対する武力攻撃をしておらず、自衛権の行使はその前提を欠き、安保理決議1441号等は、今回の武力攻撃に同意を与えるものではない。
従って、今回の武力攻撃が、国連憲章に違反することは明らかである。
アメリカなどの武力攻撃は二度にわたる世界大戦の反省を踏まえて築き上げられた国際社会における法の支配と、国連の存在意義を根底から覆すものである。
また、大規模爆撃を含む武力攻撃は、多くの市民の生命と財産を奪い、最大の人権侵害を引き起こし、真の平和と安全をもたらすものではない。
仙台弁護士会は、日本政府に対し、戦争に反対する圧倒的多数の国民の声を真摯に受けとめ、憲法の平和主義・国際協調主義の理念に立ち返り、武力攻撃に反対することを求めるとともに、アメリカなどが全世界の世論に背を向けて行っている武力攻撃に、強く抗議するものである。
2003年3月24日
仙台弁護士会
会 長 犬飼健郎