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労働者派遣法の改正案に断固反対し、廃案を強く求める会長声明

2015年06月17日

1 政府は、本年3月13日、労働者派遣の期間制限等を変える「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「本法案」という。)を第189回通常国会に提出し、現在国会において審議され、今にも衆議院を通過しようとしている。

本改正案は、昨年3月及び9月に国会に提出され、いずれも本格的な審議入りする前に、1度目は条文の誤りにより、2度目は衆議院の解散により、それぞれ廃案とされた同名の法案(以下「前回改正案」という。)と内容をほぼ同一にするものである。

 

2 これらの改正案の柱は、従来の専門26業務による区分規制を廃止したうえで、①派遣元で無期雇用されている派遣労働者(無期雇用派遣)については、業務にかかわらず派遣期間の制限を行わないこと、②派遣元で有期雇用されている派遣労働者(有期雇用派遣)については、業務単位ではなく個人単位で同一の派遣先への派遣期間を上限3年とするものである。

これらの改正案によれば、派遣先企業は、専門業種に限らず恒常的に存在する業務についても永続的に派遣労働者を利用することが可能となり、常用代替防止の理念が没却されることになる。また、有期雇用派遣についても、派遣労働者は派遣期間の上限を超えると雇用を失うこととなる一方で、派遣先は派遣労働者を替えれば永続的に派遣労働をさせることが可能となるなど派遣労働の固定化・拡大化につながる。

 

3 一応、これらの改正案は、常用代替防止のために、派遣労働者の交替により派遣の継続的受け入れが上限を超す場合には派遣先における過半数労働組合等からの意見聴取制度を設けているが、派遣先にはかかる意見聴取の結果に従う義務はなく、常用代替防止の措置としてどれほどの効果があるか甚だ疑問である。また、派遣労働者の雇用安定措置として、派遣元は、派遣先に対する直接雇用申入れや派遣元での無期雇用化等を講ずるものとされているが、これらの措置も義務化されていないため、いずれも実効性はなく、派遣労働者の雇用の安定を図ることはできない。さらに、本法案では、「厚生労働大臣は、労働者派遣法の運用に当たり、派遣就業が臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する」という規定が付加されているが、3年の期間制限は過半数労働組合等の意見聴取だけで延長できることに変わりなく、また、派遣元に義務づけられた派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置(①派遣先への直接雇用の依頼、②新たな就職先の提供、③派遣元での無期雇用、④その他安定した雇用の継続を図るための必要な措置)についても、いずれも直接雇用が保障されるものではないなど、本質的な問題点について何ら改善されていない。

 

4 それにとどまらず、派遣先が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合に、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申込みをしたものとみなして直接雇用させる「労働契約申込みみなし制度」が本年10月1日に施行が予定されているところ、本法案が成立してしまえば、本法案の施行時期を本年9月1日と予定していることから、期間制限違反などが事実上合法化される結果、この「みなし制度」が発動される場合が極めて限定されてしまい、派遣労働の固定化・拡大化をより一層進めてしまうという問題もある。

 

5 当会は、これまでも労働者派遣法の改正に反対し、直近では、昨年3月13日に「常用代替防止の理念を没却する労働者派遣法の改正に反対する会長声明」を発表し、前回改正案に対し反対の意思を表明してきた。

本法案も、前回改正案と同様、派遣労働の永続化及び拡大を促進するものであり、労働者派遣はあくまで一時的・臨時的な雇用であり、常用代替を防止するという労働者派遣法の原則的理念を放棄するものである。また、派遣労働者の雇用安定措置も極めて不十分なものにとどまる。

よって、当会は、本法案についても断固反対するとともに、本法案の廃案を強く求める。

 

平成27(2015)年6月17日

 

仙 台 弁 護 士 会

 

会長 岩 渕 健 彦

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