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平成13年1月27日総会決議

2001年01月27日

判事補制度の廃止を求める決議 

 1999年(平成11年)7月に設置された司法制度改革審議会(審議会)は、一通りの調査審議を行い、2000年(平成12年)11月20日その結果を中間報告として公表した。

 中間報告が取り上げている論点は司法に関わる全般に及んでいる。 当会は、審議会に対し、諸論点のうち、裁判官制度の改革に関して次のとおり求める。

 審議会は、裁判官制度改革に関し、国民が求める裁判官像について、法律家としてふさわしい多様で豊かな知識、経験と人間性を備えている裁判官であるとし、そのような裁判官を得るため、

①裁判官の給源の多様化、多元化を図ること、

 

②裁判官の任命手続の国民の裁判官に対する信頼感を高める観点からの見直し(透明性、客観性、説明責任を確保する方策、指名過程に国民の意思を反映させるなど資格審査の充実を図る方策等の検討)、

 

③裁判官の人事制度の裁判官の独立性に対する国民の信頼感を高める観点からの見直し(透明性、客観性の確保)

を行うべきであるとしている。

 

この中間報告中のあるべき裁判官像は妥当であるし、裁判官の選任手続と人事制度を透明性、客観性を確保する方向で見直すことを打ち出したことについては高く評価できる。 今後、その方向性に合致した具体的な方策が打ち出されることを大いに期待したい。

 しかし、中間報告が、判事補制度の存廃に関し曖昧な態度を取っていることについては賛同しがたい。 判事補制度は、中間報告がいう国民が求める裁判官像に合致した理想的な裁判官を育てる制度たり得ない (判事補から任用される裁判官がすべて理想から外れているという趣旨ではない)。 すなわち、判事補制度は、裁判所の組織の中で純粋培養的に裁判官を養成する制度であり、これによって生み出される裁判官は、概して生きた社会の真相に迫ったり生活者である当事者の痛みや感情を理解するバックグラウンドとなる社会的経験が乏しくなりがちである。 又、現状の不透明な人事制度と相俟ってその独立性についての懸念をうち消せない。 判事補制度は、官僚的裁判官を生む温床となっていると言わざるをえない。

 当会は、審議会に対し、21世紀を担うにふさわしい裁判官を生み出すために、判事補制度を廃止する方向を明らかにして、判事補以外の法律家から理想的な裁判官を選任するための具体的な諸方策及びその道筋(例えば、一定期間内に判事補制度を完全に廃止して弁護士やその資格を有する法律学者等から裁判官を確保することとし(法曹一元)、そうした裁判官の安定的確保のために弁護士や法律学者がその立場を残したまま裁判官の職務を行う非常勤裁判官制度を採用する、キャリア裁判官を前提とした累進的な給与体系を見直すなど)を調査審議し、最終報告においてはその結果を明らかにすることを求める。

 以上、決議する。

 

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