仙台拘置所内接見室問題についての会長声明
平成13年2月3日仙台拘置支所において、弁護人と被告人の接見状況を拘置所職員がビデオ撮影した可能性があるとして、当該弁護人が当局に抗議したことがマスコミにより報道された。仙台弁護士会は報道の内容を重視し、当該弁護人に事情を聴取するなど事実を調査したところ、次の事実が判明した。
①仙台拘置支所内接見室の被疑者・被告人席背後のドアには縦50センチメートル、横15センチメートルの長方形のマジックミラー様の物(以下「マジックミラー」という)がはめ込まれ、接見室内部からは鏡としか見えず、外からは接見室内部が透けて見えるという構造になっている。 すなわち接見室外部から内部を監視したりビデオ撮影しても、接見当事者はそれに気付かない。
②前記接見においては、接見途中で看守が接見室に入ってきた際、接見室外にビデオカメラを構えた拘置所職員を弁護人が現認し、しかもそのビデオカメラは撮影中であることを示すと思われる赤いランプが点灯していた。
仙台拘置支所は、前記弁護人の抗議に対し、①の事実及び②の事実中ビデオカメラを持った職員が接見室外にいたことを認めた上、接見状況をビデオ撮影した事実はないと釈明しているのであるが、その釈明は到底納得しがたい。
弁護人と被告人との接見交通権は、憲法第34条、刑事訴訟法第39条第1項によって保障される権利であり、かつそれは秘密交通権であることに重要な意義を有するものである。 この秘密交通権という性格からするならば、捜査機関及び拘置機関が接見内容を探知することが許されないのは当然である。 外からの監視・撮影を接見当事者に咎められることなくなし得るような接見室は、秘密交通権保障の見地からして断じてこれを放置することはできないし、そのような接見室でありながらそのドアのすぐ外で職員がビデオカメラを所持するなどという行為は、当該機会に秘密交通権の侵害が行われたことを強く推認させ、秘密交通権に対する配慮を全く欠くものであったと言わざるを得ない。
当会は、仙台拘置支所に対し、同所内接見室のマジックミラーを直ちに撤去することを求め、且つ同支所が秘密交通権を侵害したとの疑念を生じさせたことに強く抗議する。