少年法改正に関する会長声明
平成12年11月28日、国会において、刑事処分対象年齢を現行の「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げ、16歳以上の重大事件については刑事手続に回す「原則逆送」という、少年事件の刑罰化・厳罰化への大転換を盛り込んだ少年法「改正」法が可決された。
本「改正」法については、国会における審議のなかで、少年犯罪が決して凶悪化、低年齢化していないこと、「刑罰化」「厳罰化」が少年犯罪の抑止につながらないことなど様々な問題が指摘されたし、当会も、本「改正」法が、教育的対応を第一義とし少年の成長・発達を援助するため保護主義を原則としている少年法の基本理念を逸脱するものとして、慎重な審議を求めてきた。 それにもかかわらず拙速かつ不十分な審議により、かかる抜本的「改正」が行われたことは極めて遺憾である。 参議院段階で「改正」法の施行5年後に見直すとの付則条項を急遽加えたことからも、今回の「改正」法の内容における問題性及び法案審議の不十分さを窺わせるものである。
当会は、本「改正」少年法施行後も、現場における運用の中で少年の保護育成という少年法の基本理念が堅持されるよう働きかけるとともに、少年審判の運営、処遇がどのように変化してゆくか、厳罰化が子どもにどのような影響をもたらすかを厳しく監視し、修正として付則に盛り込まれた5年後の見直し時期までに今回の改正の問題点を指摘し、あるべき少年法の実現に向けて努力する所存である。