弁護士会ホーム > 司法試験の漏えい問題について再発防止のための抜本的対策を求める会長声明

司法試験の漏えい問題について再発防止のための抜本的対策を求める会長声明

2015年12月16日

平成27年度司法試験について,司法試験考査委員として憲法の問題作成を行った明治大学法科大学院教授(当時)が,同法科大学院に在籍していたことのある受験生に対し,問題の漏えい及び答案指導を行っていた事実(以下,「本件漏えい」という)が明らかとなった。本件漏えいは,同教授が,受験生に対し,好意を抱いて行われたものであると報道されている。

しかし,本件の背景には,現行の法科大学院制度が内包する本質的な問題が存在する。法科大学院は少人数教育を行うため,学生と教員との距離が近い。そしてほとんどの学生にとって司法試験合格は最終的な目標である。法科大学院教員が司法試験考査委員を兼ねることで,学生に対する問題漏えいやそれに準ずる不適切指導(出題分野について授業で重点的に解説する,定期試験に類似の問題を出題する等)がなされる懸念は否定できない。

平成19年に司法試験考査委員である法科大学院教員による不適切な課外指導の事案が既に発生していたにもかかわらず,「司法試験考査委員の遵守事項」を定めただけで,法科大学院教員を問題作成から排除する等の抜本的な対策を見送ってきた国にも,本件漏えいに関する責任がないとは言えない。

本件漏えいを受け,法務省において司法試験出題内容漏えい問題に関する原因究明・再発防止検討ワーキングチームが結成され,平成27年10月21日付け「平成28年司法試験考査委員の体制に関する提言」において,平成28年度司法試験については,法科大学院において現に指導をしている者は問題作成に従事しないこととする等の対策が打ち出された。さらに司法試験委員会は平成27年11月18日付けで,同年度の問題作成に関わる司法試験考査委員について,法科大学院の内外を問わず学生への指導をしないという誓約をさせることを決定した。これらの対応は,再発防止のための抜本的対策の第一歩として,まずは評価しうる。

他方,上記ワーキングチームの提言は,平成29年度以降は今後の検討に委ねることとしている。しかし,もしこのような不正が再び発生するようなことがあれば,司法試験に対する信頼は回復不可能な程度にまで損なわれることとなり,司法及び法曹に対する信頼の低下にも繋がることにかんがみれば,再発防止のためには,一時的な措置としてではなく,今後とも法科大学院教員は問題作成に従事させないこととする等の厳格な対策を講じていくべきである。

当会は,本件漏えいの背景には,現行の法科大学院制度及び司法試験制度に内包する本質的な問題があることを指摘し,国に対し,再発防止のために抜本的な対策を取ることを求めるものである。

 

平成27(2015)年12月16日

仙 台 弁 護 士 会

 会長 岩 渕 健 彦

ホームへ

  • 紛争解決支援センター
  • 住宅紛争審査会
  • 出前授業・出張講座
  • 裁判傍聴会のご案内
  • 行政の方はこちら
仙台弁護士会の連絡先
〒980-0811
宮城県仙台市青葉区一番町2-9-18
tel
  • 022-223-2383(法律相談等)
  • 022-223-1001(代表電話)
  • 022-222-6901(謄写関係)
FAX
  • 022-261-5945