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平成11年7月21日会長声明

1999年07月21日

安田弁護士の保釈を求める声明

 第二東京弁護士会所属の安田好弘弁護士が去る平成10年12月6日に強制執行妨害の容疑で逮捕され、その後同年同月25日東京地方裁判所に公訴が提起され、現在同裁判所で審理が係属中である。

 安田弁護士の弁護団は、公訴提起後これまでに7回にわたり保釈請求を行っている。これに対し、東京地方裁判所は6月11日保釈を許可する決定をしたが、東京高等裁判所は検察官の抗告を受け、即日保釈許可決定を取り消し、保釈請求を却下した。 次いで東京地裁は7月5日再度保釈を許可する決定をしたが、翌6日東京高裁はこれを取り消し、保釈請求を却下した。

 そもそも必要的保釈請求は除外事由に該当しない限り、被告人の権利として原則認められるべきものである(権利保釈)。

そうであってこそ被告人に当事者としての地位を与え、防禦ないしその準備の機会を確保しようという、刑事訴訟における当事者主義構造に適うものと言いうる。

 しかしながら裁判実務においては、例えば公訴事実を否認したり、検察官申請の証拠に同意しない等の態度を被告人側がとると、抽象的に罪証隠滅のおそれがあるとして保釈請求が却下され、長期勾留が継続されるなど原則と例外が逆転した運用がなされてきており、弁護士及び弁護士会はこのような運用を強く批判してきたところである。

 今般の安田弁護士の例は、まさにわれわれが批判してきた実務運用上の問題点を如実に示しているものと思われるものであり、裁判所に対しては権利保釈制度の趣旨に則り真に具体的に罪証隠滅のおそれがあるのか適正な判断が求められるものである。

 しかるに、二度にわたる東京高裁の保釈却下決定は、関係者に働きかけるなどして罪証を隠滅すると疑うに足りる相当の理由が依然存在すると抽象的にのべるだけで格段の具体的理由も示さず、公判を現に審理している東京地裁の保釈許可決定を取り消したもので、極めて遺憾である。

 当会は、勾留・保釈の不当な運用は一人安田弁護士の場合にのみ現れているわけではないという現状に鑑み、刑事訴訟法の権利保釈制度の趣旨に則った適切な運用がなされるよう強く望むとともに、これを是正すべく全力を挙げることを決意する。

 

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