定期借家制度導入に反対する会長声明
『少年法を一部改正する法律案』(以下「本法案」という)は昨年(1999年)3月自民・公明及び自由の各党に所属する国会議員の共同提案による「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法案(以下「特別措置法案」という)が本年7月30日衆議院に提出され、現在継続審議となっている。
特別措置法案は、その目的において良質な賃貸住宅の供給の促進をかかげているが、他方第5条において、正当事由がなくとも期間の満了により借家契約が当然に終了する定期借家制度を規定している。
しかしながら、当会は、定期借家制度を導入する特別措置法案には以下の理由から反対である。
1 平成9年12月、法務省の借地借家等に関する研究会から発表された「論点に関する意見の概要」によれば、数多くの団体が一般定期借家権の導入に反対する意見を寄せていた。 また、法務省では平成10年2月から法制審議会民法部会借地借家法小委員会において「定期借家」問題につき審議中であった。 他方、前回の国会において定期借家権の導入を前提とした「借地借家法の一部を改正する法律案」は廃案となっている。 このような状況を無視し、議員立法により強引に貸手の保護に厚い定期借家権を導入しようとしており、国民の意見を正確に反映していない。
2 特別措置法案では、定期借家契約と現行の借家契約のいずれによるかは賃貸借契約当事者において選択できると規定されているものの、賃貸人と貸借人の力関係からして、現行の借家契約が締結されることは少なくなり、多くの貸借人の地位は不安定なものとなる。
3 特別措置法案は一般定期借家制度を良質な賃貸住宅等の供給促進という住宅政策に寄与するものと位置付けている。
しかしながら、高齢者、母子家庭、長期療養者等社会的弱者に対する具体的配慮を欠き、また国及び地方公共団体の講ずる措置については全て努力目標とする規定になっており、実現の見通しが明らかでない。
よって、当会は、特別措置法案について反対の意を表明し、同法案の廃案を求めるものである。
以上、常議員会の決議に基づき声明する。