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仙台高等裁判所・仙台地方裁判所に対し、裁判所庁舎入口付近における所持品検査に関する意見書

2017年12月15日


仙台高等裁判所 長官 秋吉淳一郎 様
仙台地方裁判所長 大善文男 様

平成29年12月15日

仙 台 弁 護 士 会

会 長 亀 田 紳一郎

意 見 書

 平成30年1月15日より,仙台高等裁判所・仙台地方裁判所庁舎入口付近において,ゲート式金属探知機及び手荷物開披による所持品検査(以下,「所持品検査」といいます)を実施することが予定されているとのことです。
当会としても,裁判所庁舎内における安全を保持することの必要性を一切否定するものではありません。
しかし,裁判所は本来,三権の一翼であり市民の人権保障の砦です。また,裁判の公開は憲法で保障されており,自由な傍聴が認められるべきです。裁判所は市民に対して開かれた場所であるべきであり,そもそも一律の所持品検査の是非についても議論があるところですが,仮に所持品検査を行うとしても,その方法は,安全保持の目的に関連する,最小限度のものでなければなりません。
御庁の予定している所持品検査の方法は,来庁者にゲート式の金属探知機を通過させるだけでなく,来庁者に対して手荷物を開披させるというものです。
しかし,手荷物は,プライバシー権及び人格権に強くかかわるものであり,来庁者に対して手荷物の開披を強制することは,言わば来庁の度に自己のプライバシー権と人格権を一部放棄させるに等しい結果となります。このような検査方法は,裁判所の来庁管理の在り方として最小限度のものとは到底言えず,人権侵害の危険すら孕んでいるものと言わざるを得ません。

以上の理由で,当会は御庁に対し,下記の通り申し入れます。
1 御庁が仮に所持品検査を実施するとした場合であっても,一般来庁者に対し一律に手荷物の開披を求めることはプライバシー権及び人格権との関係で重大な問題を含むものであることから,一律に手荷物開披を行うことがない検査方法に変更していただきたい。
2 前項の通り,一律に手荷物開披を行うことのない検査方法が実現するまでの間は,所持品検査の実施を延期していただきたい。
3 所持品検査の実施方法・実施期間について,弁護士会・報道機関等のみならず,市民に対して広く情報を提供し,意見を述べる機会を確保していただきたい。

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