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政府に対し,辺野古新基地建設に明確に反対の意を示した沖縄県民の民意を尊重し,真摯に対応することを求める会長声明

2019年07月04日

1 太平洋戦争末期,沖縄では沖縄を本土防衛の「捨て石」にした悲惨な地上戦が行われ,12万人の沖縄県民が犠牲になったと言われている。日本は,1952年のサンフランシスコ講和条約の発効にあたり,沖縄を日本から切り離してアメリカ軍の占領下に委ねた。そして,旧日米安保条約によって日本の本土に駐留した米軍の一部は,本土における米軍基地撤去の動きも1つの原因となって沖縄に移転することになった。
このようにして,現在の基地偏在の原型が形づくられ,現在でも国土面 積の0.6%の面積である沖縄県には日本全国の米軍専用施設面積の約70%が存在している。その結果,沖縄県内では,米軍基地運用に起因する航空機事故,米軍人等による事件・事故,夜間・早朝を問わず発生する航空機騒音,PCB・ダイオキシン・ヒ素・六価クロム等の有害物質による環境汚染等が絶え間なく発生している。
それゆえ,沖縄県民は,米軍基地の整理,縮小,撤廃,とりわけ基地と住宅などの民間施設が極めて近接して存在することから「世界一危険な飛行場」と称される(2010年7月29日福岡高裁那覇支部判決参照)普天間飛行場の返還を求めている。

2 2019年2月24日,沖縄県において「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立て」の賛否を問う県民投票が行われ,投票総数60万5385票(投票率52.84%)のうち7割を超える43万4273票(投票資格者総数の37.65%)が「反対」という結果であった。
上記県民投票の結果のみならず,2014年,2018年の沖縄県知事選挙,2019年4月の衆議院沖縄3区補欠選挙などで,辺野古新基地建設に反対の立場を掲げた候補者がいずれも当選していることに,長年基地負担に苦しんできた沖縄県民の多くが辺野古新基地建設に反対していることが端的に表れている。しかしながら,政府は沖縄県民の意思を尊重せず,普天間飛行場の代替と称し,辺野古新基地の建設に向け,辺野古沿岸に土砂を投入し,埋め立て工事を強行している。しかも,沖縄県からは,政府に対し,上記結果を踏まえ話合いのテーブルにつくべく申し入れがされているが,政府の対応はこれに真摯に応じるものとは言い難い。

3 沖縄弁護士会は,県民投票に先立つ2018年12月10日,臨時総会を開催し,「辺野古新基地建設が,沖縄県民にのみ過重な負担を強い,その尊厳を踏みにじるものであることに鑑み,解決に向けた主体的な取り組みを日本国民全体に呼びかけるとともに,政府に対し,沖縄県民の民意を尊重することを求める決議」を圧倒的多数の賛成で可決した。
  この決議は,米軍基地が偏在する沖縄県内に沖縄県民の意思を無視してさらに辺野古新基地建設のための埋立てを強行する国に対し,個人の尊厳を保障し(憲法13条),法の下の平等を規定し(同14条),地方自治(同92条)を保障した憲法の趣旨に反するものであるとして政府に対する抗議を行なうものであると同時に,日本国民全体にこの問題の解決に向けた主体的な取り組みを呼びかけるものであった。

4 当会は,辺野古新基地建設問題が沖縄に対する構造的な差別に由来するものであり沖縄だけではなく日本全体の問題であることを深く自覚し,基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として,沖縄弁護士会決議に応え,沖縄問題への主体的取り組みを模索するとともに,政府に対し,辺野古新基地建設に明確に反対の意を示した沖縄県民の民意を尊重し真摯な対応を直ちにとることを強く求める。

2019年(令和元年)7月4日

仙 台 弁 護 士 会

会 長 鎌 田 健 司

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