東日本大震災の発生から8年9か月を経過した現在もなお,修繕が不十分な住宅での生活を余儀なくされている被災者が存在する。
当会が平成27年11月から平成29年11月まで実施した石巻市内等の在宅被災者への戸別訪問相談によって,自宅補修による再建方法を選択したにもかかわらず加算支援金を受給できることを知らない被災者や,申請したくとも申請方法がわからない被災者が少なからず存在することが判明した。
一方で,令和2年4月10日には,東日本大震災の被災者生活再建支援金(加算支援金)の申請期限を迎える。被災者向けにきめ細やかに定期的な情報提供を行ってきた仙台市においてすら,令和元年9月30日時点で未だ3479世帯が申請すれば受給できる加算支援金について未申請のままである。
未申請世帯の多くは,郵送による情報提供が届かない何らかの要因が存在することが推定され,よりきめ細やかな支援を必要とする課題を抱えた世帯が相当数存在することが窺える。
このような実情を踏まえ,当会は,ひとりの被災者も支援から取りこぼされる事がないよう,宮城県に対して,加算支援金の申請期限を再延長することを求めるとともに,基礎自治体に対して,加算支援金の未申請世帯に対する戸別訪問による調査及び情報提供を実施することを求める。
2019年(令和元年)12月18日
仙 台 弁 護 士 会
会 長 鎌 田 健 司