仙台市は、本年6月9日、歴史的に価値のある公文書を永年保存する「仙台市公文書館(仮称)」(2022年度開設予定)に収蔵する歴史的公文書等の公開基準等を協議する組織として、有識者による「(仮称)仙台市公文書館運営検討会議」を設置し、同年7月28日に初会合が開催された。
公文書館は、歴史的公文書を保存し、市民の利用(閲覧)に供することを目的とするものであり、その開設は仙台市の知的資源の保存及び利用にとって極めて有益である。東日本大震災や新型コロナウイルス感染症に関する会議録等の資料も保存・利用されることにより、将来の研究や対策に資するものと言える。
ところで、公文書館における歴史的公文書の保存及び利用に関しては、公文書が「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法1条)であることに鑑み、歴史的公文書として保存するか廃棄するかについての恣意的判断を極力回避する仕組みが必要である。また、利用基準についても、住民の知る権利を保障する見地からは、利用拒否事由を厳格に定める必要がある。
このような仕組みや基準は、公文書が住民共有の知的資源であり、住民の権利に関するものである以上、民主的基盤を有する議会による条例によって制定されるべきである。
かかる観点から、当会は、2017年2月9日付「公文書管理条例の制定を求める意見書」を仙台市長に提出してきたところであるが、今般、仙台市公文書館の開設に併せて、改めて、住民の知る権利が保障された公文書管理条例を制定することを求める。
2020年(令和2年)8月27日
仙 台 弁 護 士 会
会 長 十 河 弘