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新型コロナウイルス感染症の影響による解雇・雇止めに関する会長声明

2020年08月27日

 厚生労働省によると,本年8月21日時点で,新型コロナウイルスの感染拡大に関連した解雇や雇止めの人数(見込みを含む。)は,4万8206人に達した。このうち,宮城県は1070人とされている。業種別では,製造業が最も多く,観光客の減少や外出の自粛の影響を受けた宿泊業や飲食業も目立っている。そして,派遣労働者などの非正規労働者を対象とする割合が大きくなっている。
このような解雇・雇止めは経営上の問題を理由として行われるものであるが,その中には整理解雇の4要件ないし4要素(人員削減の必要性,解雇回避努力,人選の妥当性,手続の相当性)を満たさないような解雇が行われた事例があること,雇止めについても違法と疑われる事例があることが報告されているところである。
労働者が解雇されれば生活に困窮してしまうことを考えれば,使用者には景気の変動に対する備えを事前に行い,できる限り雇用を維持する責任がある。そのため,新型コロナウイルスの影響は甚大なもので,経営への影響も大きいとしても,解雇・雇止めを行う場合には法的に有効か否かは慎重に検討されるべきである。
一方,こうした解雇や雇止めを防ぐ対策として,厚生労働省が企業に活用を促している「雇用調整助成金」は,申請が本年8月21日時点で約88万件にのぼり,このうち約77万件の支給が決まっている。新型コロナウイルスの影響に対応すべく,「雇用調整助成金」は助成率及び上限額が引き上げられ,申請手続も大幅に緩和されたうえ,今般,本年9月30日までとされていた特例措置も,上限額を維持したまま本年12月末まで延長されることとなった。これらの制度を活用することは,使用者が尽くすべき解雇回避努力の1つの方策と考えられる。
ただ,雇用調整助成金の利用に消極的な事業者も依然として存在しており,厚労省としては,事業者に対し,繰り返しその積極的な活用と雇用の維持を呼びかける必要がある。また,経済の落ち込みは激しく,特に中小企業の倒産・廃業の増加が懸念されるところであり,それらに対する支援も雇用の維持には必要である。
当会は,本年4月28日付け「新型コロナウイルスの感染拡大による問題に対し全力で取り組む宣言」において「本人に起因しない被害は,社会全体として受け止めるべきであり,一部の事業者や個人にその負担を強いるべきでありません」と述べたところである。そのことも踏まえ,事業者に対し,労働者の雇用を維持し,解雇・雇止めには慎重な判断を求めるともに,国に対しては,雇用調整助成金の積極的な活用を呼び掛けることに加え,積極的な中小企業支援策によって解雇・雇止めの防止に取り組むよう求める。

2020年(令和2年)8月27日

仙 台 弁 護 士 会

 

会 長 十 河   弘

  

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