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出入国管理及び難民認定法改正案の取下げを受け、同法の抜本的な改正を求める会長声明

2021年06月24日

1 政府は、本年2月19日、出入国管理及び難民認定法改正案(以下「本改正案」という。)を当時の国会に提出したが、当該国会での成立を断念し、本改正案は事実上廃案となった。
2 日本の出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)は、地方出入国在留管理官署(以下「入管」という)に広範な裁量を認め、全件収容主義を採用し、収容にあたっては収容期間の上限が定められておらず、かつ司法審査が導入されていない。そして日本は、主要国の中でも難民認定率が極めて低く、適正な難民認定が行われていないと強く疑われている。これらのことから、上記入管法は、外国人の人権を不当に制約するものであるとしてかねてより国際社会から繰り返し批判を浴びていた。近いところでは2020年8月28日、国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会から、日本の外国人収用制度は自由権規約に違反していると言及され、自由権規約等の国際法規に適合するよう入管法の法改正をするよう求められていた。
3 しかし、本改正案は、上記各問題点を是正するどころか、送還停止効の例外を認め、退去命令に従わない者に対して刑事罰を科し、全件収容主義を維持する等、かえって入管庁の権限を一方的かつ徹底的に強化し、外国人の人権を侵害するおそれの大きい内容であった。このような本改正案に対して、本年3月31日、国連人権理事会の特別報告者らが、本改正案が自由権規約をはじめとする国際法に違反しているとの声明を発表した。また、本年3月6日に名古屋出入国在留管理局で発生したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の死亡事件により、現状の入管法の問題点が浮き彫りになったことから、国内においても、国際法研究者や各種団体が本改正案に反対の声を次々とあげる等、日に日に世論が高まっていった結果、本改正案は事実上廃案となったものである。
4 しかし、本改正案が廃案になったとしても、依然として、上記で述べた入管法の根本的な各問題点は残されたままであり、自由権規約をはじめとする国際法に違反する形で出入国管理行政及び難民認定が行われ、外国人の人権が侵害ないし制約されている。また、そのような出入国管理行政下で発生したウィシュマさんの死亡事件について、重要なビデオ動画や医療記録等が遺族にさえ開示されておらず、真相究明が果たされていないのが現状である。入管においては、2010年以降だけでも10名以上の被収容者の死亡事件が発生していることも踏まえれば、上記事件の真相究明は、今後の同種の人権侵害を防ぐ上で必要不可欠である。
5 よって、当会は、政府に対して、二度と悲劇を繰り返さないためにもウィシュマさんの死亡事件について、一日も早く真相を究明するように求めるとともに、政府及び国会に対して、外国人の人権を擁護する観点から、速やかに全件収容主義を廃止し、収容にあたっては、収容期間の上限を定め、事前・事後に司法審査を経るものとするよう、また、難民認定が適正に行われるよう、国際的基準に合致した形で抜本的に入管法を改正することを求める。

2021年(令和3年)6月24日

仙 台 弁 護 士 会

会 長  鈴  木   覚

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