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平成23年9月7日会長声明

2011年09月09日

「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」の運用開始にあたっての会長声明


 

 東日本大震災からの復興のためには、被災者・被災事業者の経済的負担を軽減することが必要不可欠である。そこで,当会は、これまでに、「東日本大震災により被災した中小・零細事業者を対象とする救済策に関する提言」(本年6月2日)、「東日本大震災の被災者が抱える既存債務からの解放を求める緊急提言」(本年6月15日)などの提言を行い、また、同月16日より「既存債務からの解放を求める緊急請願」に関する署名活動を行ってきた。

 当会が請願についての署名を求めた趣旨は、国が立法によって速やかに被災者を既存債務から解放すること、及びその対象を、住宅ローンのみならず、各種ローンやリースなどを含めた幅広いものとすることであった。

 そして,開始からわずか1ヶ月の間に、全国各地より合計にして10万7460筆もの署名が寄せられ、現在でも続々と署名が寄せられている。このことは、被災者のみならず、全国民が被災者を既存債務に拘束することの不相当性を理解し、被災者の既存債務問題(いわゆる二重ローン問題)が抜本的に解消されることを切実に望んでいることを端的に示しているものである。

 この既存債務問題の解決に関し、個人の債務については「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」が新たに策定され、本年8月22日より運用が開始されている。

 この私的整理ガイドラインには、一定の要件を満たした者については、債務の減額、免除がなされることが規定されるとともに、同ガイドラインに従って解決が図られたときには、信用情報登録機関に対し、いわゆる事故情報が報告・登録されないものとされ、その解決の実効性を高めるために弁護士、公認会計士及び税理士等により構成される運営委員会による支援等が規定されている。

 しかし、同ガイドラインはあくまでも民間の自主的なルールに過ぎず、最終的に私的整理案に応じるか否かは各金融機関の判断に委ねられることとなる。また、肝心な対象債務者の範囲については解釈に委ねられるところも多く、債権者の姿勢如何によっては本来救済されるべき債務者が救済されない事態も懸念される。

 このように、同ガイドラインは、立法措置ではないことをはじめ、当会が行ってきた「既存債務からの解放を求める緊急請願」に関する署名活動が目指したものそのものとは言い難く、また、被災者としては、同ガイドラインによる解決を選択した場合、信用情報登録機関に事故情報が報告・登録されることなく解決ができるか否かの見通しが立たないために、現時点においては必ずしも利用しやすい制度とは言えないところである。

 同ガイドラインが既存債務問題の抜本的解決の役割を果たすためには、少なくとも、救済される債務者の範囲を広げるとともに、要件を満たした申立については確実に私的整理が成立するとの実績と運用を構築する必要がある。

 よって、当会としては、全国から寄せられた署名の重みを十分に認識し、私的整理ガイドラインの運用につき絶えず注視し、被災者救済の観点から、同ガイドラインが既存債務の解消のために十分機能するような運用を確立していくよう尽力するとともに、運用のみでは不十分と判断される場合には、より広く抜本的な被災者救済が図られるよう立法提言を含めたさらなる活動を継続していくものである。

 

2011(平成23)年9月7日

 

仙台弁護士会             

会  長   森  山     博

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