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平成15年2月22日総会決議

2003年02月22日

有事法制3法案の廃案を求める決議

 政府・与党が、第154回国会に上程し、第156回通常国会において成立を図ろうとしている有事法制3法案には、憲法原理に照らし、少なくとも以下に指摘する重大な問題点と危険性が存在する。

 

 第1に、「武力攻撃事態」法案では「武力攻撃のおそれのある事態」や「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」までが「武力攻撃事態」とされており、その範囲・概念は極めて曖昧である。政府の判断によりどのようにも「武力攻撃事態」を認定することが可能であり、しかも、国会の承認は「対処措置」実行後になされることから、政府の認定を追認するものとなるおそれが大きい。

 

 第2に、いったん内閣により「武力攻撃事態」の認定がなされると、陣地構築・軍事施設・軍事物資確保等のための私有財産の収用・使用、軍隊・軍事物資の輸送、軍事施設の建設、戦傷者の治療等のための市民に対する役務の強制、交通・通信・経済等の市民生活・経済活動の規制がなされることになる。これは憲法規範の中核をなす基本的人権保障原理を変質させる重大な危険性を有する。

 

 第3に、曖昧な概念の下で拡張された「武力攻撃事態」における自衛隊の行動は、憲法の定める平和主義の原理、憲法九条の戦争放棄、軍備及び交戦権の否認に抵触するのではないかとの重大な疑念が存在する。またいわゆる「周辺事態法」と連動して、米軍が主体的に関与する戦争あるいは紛争に我が国を参加させることにより、日米の共同行動すなわち個別的自衛権の枠を超えた「集団的自衛権の行使」となって、周辺諸国から我が国が対外的脅威とみなされるおそれがある。このことは、我が国に対する攻撃を招く危険を生じさせることにさえなる。

 

 第4に、武力の行使、情報・経済の統制等を含む幅広い事態対処権限を内閣総理大臣に集中し、その事務を閣内の「対策本部」に所掌させることは、行政権は内閣に属するという憲法規定と抵触する。更に、内閣総理大臣の地方公共団体に対する指示権及び地方公共団体が行う措置の直接執行権は、地方自治の本旨に反する。この法案は、内閣総理大臣に強大な権限を付与するものであり、憲法が定める民主的・権力分立的な統治構造・地方自治制度を変質させるものである。

 

 第5に、日本放送協会(NHK)などの放送機関を指定公共機関とし、これらに対し、「必要な措置を実施する責務」を負わせ、内閣総理大臣が、対処措置を実施すべきことを指示し、実施されないときは自ら直接対処措置を実施することができる。これは、政府が放送メディアの権力監視機能、報道の自由を侵害し、国民主権と民主主義の基盤を崩壊させる危険を有するものである。

 仙台弁護士会は、法案の持つ重大性、危険性に鑑み、法案の問題点を国民・県民に明らかにし、上記理由に基づき、有事法制3法案に反対し、廃案にすることを改めて強く求めるものである。

 

以上のとおり決議する。

 

 

2003年(平成15年)2月22日

仙 台 弁 護 士 会

会 長  犬 飼 健 郎

 

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