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平成13年1月27日総会決議

2001年01月27日

弁護士報酬の敗訴者負担制度導入に反対する決議 

 司法制度改革審議会は、弁護士報酬の高さから訴訟に踏み切れなかった当事者に訴訟を利用しやすくするものであることなどから、弁護士報酬の敗訴者負担制度を基本的に導入する方向で考えるべきであるとする中間報告(2000年11月20日)をまとめた。

 しかし、弁護士報酬を原則的に敗訴者の負担とする制度を導入するならば、市民に訴訟による解決を躊躇させ、ルールに従って、紛争を解決するという司法の機能を阻害し、司法は国民にとって利用しにくいものとなりかねない。

 市民が訴訟を躊躇するのは、裁判の結果が予測し難い為であることが少なくない。訴訟となる事案は、双方に相応の言い分があり、訴訟以前の交渉でも解決に至らなかったことが少なくなく、更に、わが国では、証拠開示制度ないし証拠収集制度が不十分であることもあって、提訴段階では、訴訟の結果を予測し難い事件が多い。それにもかかわらず、弁護士報酬を原則として敗訴者が負担するという制度が導入されるならば、弁護士報酬を転嫁する手段も、負担する経済力もない市民や中小零細企業は、敗訴の場合の相手方の弁護士報酬を心配し、一層、訴訟をためらうこととなりかねない。 また、敗訴の場合の負担を懸念して、不当な請求に応じたり、意に反する和解を甘受せざるを得ないという事態も生じかねず、訴訟は経済的な強者が弱者を威嚇する道具となりかねない。

 中間報告は、敗訴者に負担させるべき弁護士費用額の定め方、敗訴者負担の例外とすべき訴訟の範囲及び例外的取扱いの在り方等について検討すべきであるとし、政策形成訴訟、労働訴訟、少額訴訟などを敗訴者負担の例外とする考え方を示してはいるが、例外とすべき明確な基準を定めることはほとんど不可能であり、先に指摘した懸念を払拭できるものではない。

 これまで、消費者問題や公害問題、あるいは立法府や行政府が政策や制度の変更を求められる局面で、情報の格差(証拠の偏在)と経済力の格差等から、勝訴の確かな見込みがない中で、権利救済の為の裁判が提起され、幾多の敗訴判決を乗り越えて、市民の権利が確立し、政策や制度改正への途が拓かれてきたが、弁護士報酬の敗訴者負担制度が導入されるならば、そのような訴訟の提起は、極めて困難となってしまう。

 以上のとおり、弁護士報酬の一般的な敗訴者負担制度は、その意図するところとは異なり、市民の訴訟による解決を躊躇させ、国民の司法へのアクセスを現状よりも一層困難にする面を有しており、市民の為の司法改革の理念に逆行するものである。

 当会としては、その導入に強く反対する。

 

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