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平成10年6月10日会長声明

1998年06月10日

1、 本年2月10日、政府が国会に提出した「労働基準法の一部を改正する法律案」は継続審議となる見込みである。

また、政府 が今国会への提出を準備していた労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(以下 「派遣法」という)の一部「改正」法案は、今国会への上程は見送られた。

これらの法案の内容は、昨年6月に成立した時間外・休日・深夜労働に関する労働基準法(以下「労基法」という)の女性保護規定の撤廃とあいまって、労働法制における規制緩和、労働力の流動化を一層促進するものである。

 

 2、労基法を始めとする労働保護法は、憲法27条2項に基づき、労働者が人間らしく働くための労働条件の最低基準を法律で定めたものであり、労基法は、本来、使用者とは対等の立場に立ち得ない労働者を保護するため使用者に規制をかけることを目的とする。

 しかし、労基法の「改正」案は、裁量労働制の対象を拡大し、変形労働時間制の一層の弾力化を進めているうえ、時間外労働についての男女共通の規制に法的拘束力を与えないばかりか、深夜労働についても何らの規制をしていない。 そのような「改正」案が成立したならば、労基法上の1日8時間、1週間40時間の労働時間の原則的規制は有名無実となり、女性も男性も、過労死に象徴されるような長時間過密労働を更に強いられることとなろう。

「改正」案は、労働者が人間らしく働くことを困難にし、とりわけ、女性が家庭生活と職業生活を両立させることを困難にするものである。

 

3、また、「改正」案は、労働契約期間の上限を3年に延長することとしている。

このような期間の延長は、短期雇用の労働者を増大させるだけでなく、憲法14条の平等原則の下で、なお、慣行として存在している「女性若年定年制」を合法化し、女性の就労の継続を阻む恐れがある。

さらに、派遣法の「改正」は、劣悪な労働条件の下で働いている派遣労働者の権利保護については何らの改正を盛り込まず、労働者派遣事業の原則自由化のみを打ち出しており、このような「改正」が成立すれば、正規常用労働者の派遣労働者への置き換えが急速に進むことが予測される。

労基法の労働契約期間の上限延長と労働者派遣事業の原則自由化は、ますます不安定雇用を増大させ、雇用の流動化を図るものであり、労働者が安定した雇用の下で人間らしく働くことをおびやかすものである。

 

4、以上の理由から、当会は労基法の一部「改正」案の廃案を求めるとともに、派遣法の一部「改正」案の国会上程について今後とも反対するものである。

 

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