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トランスジェンダーの弁護士に対する殺害予告を強く非難するとともに、トランスジェンダーを含むすべての人の個人の尊厳が保障され、差別や偏見のない社会の実現を求める会長声明

2023年06月30日

トランスジェンダーの弁護士に対する殺害予告を強く非難するとともに、トランスジェンダーを含むすべての人の個人の尊厳が保障され、差別や偏見のない社会の実現を求める会長声明

 
 本年6月3日未明から6月5日未明にかけて、トランスジェンダーであることを公表して活動している大阪弁護士会所属の弁護士の法律事務所のホームページに、「男のクセに女のフリをしているオカマ野郎をメッタ刺しにして殺害する、必ず決行する」、「チャンスあったらその時メッタ刺しにするわ、楽しみにしとけなキモカマ野郎。男だから怖くないかもしれないけどな(笑)」などと書いた殺害予告のメッセージが匿名の者から断続的に多数送られてくるという事件が発生した。
 上記メッセージは、その内容から明らかなとおり、同弁護士に対する殺害予告という脅迫及び業務妨害だけでなく、同弁護士がトランスジェンダーであることに着目したヘイトクライム(特定の属性を持つ個人や集団に対する偏見や憎悪により引き起こされる犯罪行為)であって、断じて許されない。

 トランスジェンダー(性別越境者)とは、出生時に割り当てられた性別と異なる性自認(その人が自分自身の性別をどう思っているかに関する、ある程度の時間的・空間的な一貫性を持つ自己意識)を持つ人々の総称である。性自認は、個人の人格と密接不可分であり、これを理由とする差別や偏見はその人の人格を否定することにつながり、個人の尊厳(憲法13条)や法の下の平等(憲法14条)に反し許されない。
 G7広島首脳コミュニケ(2023年5月20日)においても、「我々は、・・・あらゆる人々が性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、暴力や差別を受けることなく生き生きとした人生を享受することができる社会を実現する。」(パラグラフ42)と宣言しており、マジョリティとは異なる多様な性を生きる人々(性的マイノリティ)が差別や偏見、暴力を受けることなく、個人として尊重される社会を目指すことは国際社会の共通認識となっている。
 ところが、本年6月16日に成立した「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(いわゆるLGBT理解増進法)は、全体として、性的マイノリティの尊厳を保障し、差別や偏見を根絶するという本来の立法目的の実現にとって甚だ不十分な内容となった。その上、「この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。」との留意条項が盛り込まれたが、これは性的マジョリティの意向の優先につながりかねない条項であり、上記立法目的に逆行するものと言わざるを得ない。したがって、冒頭に挙げたヘイトクライムのような事件を生じさせないためにも、同法は速やかに本来の立法目的に沿った内容に改められなければならない。

 当会は、シンポジウム「多様な性を認め合う社会のために」(2020年12月25日、東北弁護士会連合会との共催)を開催し、2021年2月27日定期総会において、「すべての人にとって平等な婚姻制度の実現とパートナーシップ認証制度の創設を求める決議」をあげたほか、電話相談を実施するなどして、性的指向や性自認にかかわらず、すべての人が尊重される社会を目指してきた。

 よって、当会は、このたびの殺害予告メッセージに対して強い非難をするとともに、このような妨害と差別的言動が二度と起きないようにするためにも、トランスジェンダー等の性的マイノリティを含むすべての人が、個人の尊厳を保障され、差別や偏見を受けることなく生きることができる社会を実現するための実効的な法制度の確立を求める。

2023年(令和5年)6月29日

仙 台 弁 護 士 会

会 長  野 呂  圭

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