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平成20年2月23日総会決議

2008年02月23日

ヤミ金融による被害根絶を図る決議

 2003(平成15)年7月,貸金業の規制等に関する法律及び出資の受け入れ,預り金及び金利等の取り締まりに関する法律の一部改正法(いわゆる「ヤミ金融対策法」)が成立し,罰則の強化や,業として年109.5パーセントを超える金利での貸付の契約無効等の規制策が導入された。

 2006(平成18)年12月に成立した,「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」(いわゆる「改正貸金業法」)では,多重債務問題解決のため,公布後概ね3年を目途に,上限金利の引き下げ・与信の総量規制を導入する等,貸金業に対する規制強化を図ると共に罰則の強化が行われた。

 政府はこの改正貸金業法に基づき「多重債務者対策本部」を設置し,同本部は昨年4月,「多重債務問題改善プログラム」を策定して,自治体を中心とする相談体制の整備,ヤミ金融撲滅の対策をとることとした。このプログラムに基づき全ての都道府県に「多重債務対策協議会」が設置され,多重債務相談体制の充実,ヤミ金融対策が進められている。宮城県内でも昨年7月に「宮城県多重債務対策会議」が設置され,県内統一の相談マニュアルが作成される等の対策が進んでいる。

 しかしながら,上記罰則の強化等にもかかわらず未だにヤミ金融による被害は根絶されておらず,昨年8月には,大阪市住之江区の75歳男性がヤミ金融の取立てを苦に自宅マンションから飛降り自殺する事件が起こる等ヤミ金融による被害は後を絶たない。なかには警察が被害相談に対応できずにヤミ金融への支払いを指導するケースすら散見されており,なおヤミ金融対策は十分とはいえない。

 他方,貸金業界は自主規制として与信の総量規制の前倒しを実施しており,融資を受けられない生活困窮者が,ヤミ金融から借入を行う事態の増加が懸念されるところとなっている。

 ヤミ金融対策法や改正貸金業法は,日本弁護士連合会や当会を含む全国の弁護士会が長年にわたる取組みの末勝ち取った成果である。しかし,その規制を公然と無視して暴利を貪るヤミ金融の跋扈を許したのでは,貸金業界に,上限金利引き下げ・与信の総量規制導入延期の口実を与えることともなりかねない。

 そこで,当会は,ヤミ金融による被害を根絶すべく,①ヤミ金融から借入をしている者に対する法律相談体制の充実,受任体制の整備,②会員間の積極的な情報交換によるヤミ金融事件処理のために必要な情報及び実践的知識の共有,③ヤミ金融摘発のための積極的な警察との連携等を図り,当会としてヤミ金融による被害を根絶するために全力を尽くすことを宣言すると共に,国,都道府県及び警察に対し,ヤミ金融による被害を根絶する対策をさらに徹底するよう求める。

 以上のとおり,決議する。

 

2008(平成20)年2月23日

           

 仙 台 弁 護 士 会    

 会 長  角  山   正

 

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